2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオモニタリングを利用した高毒性有機ハロゲン化合物の簡易大気汚染評価法の構築
Project/Area Number |
19310014
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
宮田 秀明 Setsunan University, 薬学部, 教授 (80167676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助教 (20248066)
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 助手 (20288971)
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Keywords | バイオモニタリング / 臭素系難燃剤 / 環境汚染物質 |
Research Abstract |
既に、研究代表者らは、黒松針葉の表皮が高含有量の脂質を有し、脂溶性環境汚染物質を効率よく蓄積する特性を有することに着目し、黒松針葉を評価指標として、塩素系環境汚染物質である、ダイオキシン類について、簡易大気汚染評価法を構築した。しかし、近年、臭素系難燃剤の大量使用に伴う環境汚染レベルが急増し、その軽減対策が世界的な関心事となっている。このような状況の背景の基に、黒松針葉を指標試料として、現在世界的に最も汚染軽減対策が強調されている臭素系難燃剤のポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)を対象として、大気汚染評価法の構築を試みた。前年度の基礎的研究成果に基づき、(1)黒松針葉中蓄積濃度から大気気相中濃度への変換、(2)針葉齢(月齢)、(3)大気気相中濃度から大気全体濃度への変換を組み込んだ黒松針葉中のPBDEs蓄積濃度を基礎とした大気中PBDEs濃度の評価式を構築した。この大気汚染評価式の精度を検証するため、大阪府下の環境汚染が異なる8ヶ所の地域において、評価式から算出した大気濃度と実測大気中PBDEs濃度を比較し、換算大気濃度は実測大気濃度との誤差が平均22%であり、比較的高精度の評価式であることが検証できた。次に、この評価式を利用して、西日本を中心として全国20箇所のPBDEsによる大気汚染実態を明らかにした。PBDEsの汚染濃度は、0.50〜3.6pg/m^3の範囲にあり、最大8.7倍も大きな地域差のあることが判明した。一般的に、大阪府大阪市や京都府京都市のような大都市域や大阪府堺市大浜のような工場地域において汚染が重度な傾向が認められた。また、大気が滞留しやすい大阪府堺市泉ヶ丘や生駒山麓の大阪府東大阪市でも汚染が重度である傾向が認められた。一方、人口密度が低い広島県東広島市、宮崎県都城市・宮崎市、福岡県直方市の汚染は軽度であった。以上の大きな地域差を考慮すると、PBDEsの汚染軽減対策としては、汚染重度な地域に焦点を当て、発生抑制対策が重要であることが指摘できた。
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Research Products
(3 results)