2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気-陸域間の生物地球化学的相互作用を扱うモデルの拡張と温暖化影響評価への適用
Project/Area Number |
19310017
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 National Institute for Environmental Studies, 地球環境研究センター, 研究員 (70344273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲冨 素子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (90419896)
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Keywords | 環境モデル / 大気陸域相互作用 / IGBP-iLEAPS / 地球環境変動 / 陸域生態系 / 温室効果ガス |
Research Abstract |
大気-陸域間の微量ガス交換(温室効果ガス、スス・有機エアロゾル、生物起源揮発性有機物質(BVOC)など)を統合的に扱うモデル(VISIT:Vegetation Integrative Simulator for Trace gases)の開発を継続した。このモデルは、陸域炭素循環モデルSim-CYCLEをベースに、窒素循環、メタン交換、バイオマス燃焼、揮発性有機物質などの交換スキームを組み込んだもので、共通フレームワークのモデルでこのような多数の微量ガス交換を扱えるモデルはほとんど例がなく、生態系機能の定量化や気候的フィードバックの解析に非常に有効と考えられる。温室効果ガス交換については、複数の評価式が提案されているので、相互比較を行うことで特性を把握した。今年度は、岐阜高山、富士吉田、菅平においてVISITを実行し、各温室効果ガスの寄与率などを推定した。グローバルモデルの開発と試行的シミュレーションも開始しており、温室効果ガスだけでなくバイオマス燃焼やBVOCの放出分布マップを作成した。IPCC AR4で使用された複数種類の大気海洋時結合大循環モデルによる温暖化予測シナリオを用いて、2100年までの大気-陸域間微量ガス交換の変動とその推定不確実性を評価した。陸域からのメタン・亜酸化窒素放出が有意に増加する可能性を示唆した。グローバルな炭素循環において燃焼や揮発性物質による炭素放出が、無視しえない規模で発生している可能性を示した。VISITにはエロージョンや溶存態有機物の流出過程も組み込まれているが、このような微量だが全球合計では重要な各フローの評価が可能になった。温室効果ガス収支の評価や新モデルの開発について、国内学会や国際シンポジウムで積極的に発表を行った。
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