2010 Fiscal Year Annual Research Report
大気ー陸域間の生物地球化学的相互作用を扱うモデルの拡張と温暖化影響評価への適用
Project/Area Number |
19310017
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (70344273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安立 美奈子 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, NIESポスドクフェロー (40450275)
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Keywords | 環境モデル / 大気陸域相互作用 / IGBP-iLEAPS / 地球温暖化 / 陸域生態系 / 大気化学 |
Research Abstract |
大気-陸域生態系間で行われる微量ガス交換を総合的に扱えるよう、陸域生態系モデルVISITの高度化を進展させた。陸域起源の温室効果ガスフラックスの空間分布とその時間的変動要因に関するモデル解析を行った。(1)アジア地域を特徴付けるモンスーン気候下で発生する台風が落葉を発生させることで森林生態系の炭素収支に与える影響を重点的に解析した。その結果、強風による落葉は光合成能力を一時的に低下させ、炭素固定量が低下することで炭素収支に影響を与えている可能性が示唆された。この結果は、長期的な陸域炭素収支を定量的に評価する上での撹乱影響の重要性を明示するものであり、このような不連続・不均質な減少を考慮することが温室効果ガス収支の高度化につながることが示唆された。ここで得られた成果は国際ワークショップおよび国内学会で発表され、論文として公表された。(2)土壌表面から発生するCO2量を広域的にモデル評価する上での不確実性と問題点を明確化するため、複数モデルによる相互比較研究を行った。異なる構造を持つ陸域モデルは、土壌有機物の平均滞留時間、分解速度の温度依存性、CO2発生源(植物根と土壌微生物)の組成に違いが見られた。日本列島を対象とした予備的研究の成果を論文として発表した。(3)植物からの揮発性有機物質発生、メタン放出・酸化、バイオマス燃焼といった微量ガスフラックスを多数取り込んだモデルを構築し、陸域炭素収支の統合的な評価を行った。その成果を国際ワークショップで発表した5(4)陸域生態系のCO2固定能を代表する指標である純一次生産力の過去の推定についてメタ分析を実施した。
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