2007 Fiscal Year Annual Research Report
ベーリング海東部陸棚域における過去100年にわたる生態系変動
Project/Area Number |
19310018
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
原田 尚美 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境観測研究センター, サブリーダー (70344281)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木元 克典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (40359162)
岡崎 裕典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, ポストドクトラル研究員 (80426288)
長島 佳菜 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, ポストドクトラル研究員 (90426289)
小栗 一将 独立行正法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 技術研究主任 (10359177)
齊藤 誠一 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (70250503)
|
Keywords | 近過去 / ベーリング海 / 生態系変動 / 海底堆積物 / 円石藻ブルーム |
Research Abstract |
ベーリング海の植物プランクトンの優占種は珪藻であり、二酸化炭素の吸収域として非常に重要な海域である。ところが、東部陸棚域における円石藻ブルームが1997年以来報告されるようになった。円石藻は、炭酸塩の殻を合成する際、光合成による二酸化炭素の吸収量に匹敵する二酸化炭素を発生させる。従って、円石藻のブルームの多発は、それまで二酸化炭素の吸収域であったベーリング海を発生域(吸収域ではなくなるという意味で)に変えるという意味を持つ。本研究では、ベーリング海東部陸棚域において発生する円石藻ブルームが(1)一体いっから発生するようになったのか(1997年なのか)、(2)他のプランクトン種はどう変化しているのか(3)その発生メカニズムはENSOや北極振動変動などとの関連性、(4)発生の規模はそれから想定される二酸化炭素発生量(吸収しなくなってしまった量)はどの程度なのかについて、陸棚域の表層堆積物を用いて明らかにすることを目的としている。H19年度は、(1)および(2)について研究を進めた。その結果(1)については、1970年代(遅くとも60年代)には既に円石藻ブルームが生じていた様子がバイオマーカーの濃度変化から明らかとなった。また、(2)については、珪藻全体の個数は1970年代以降特に変化はなかった。ただ、優占種であったPalaria sulucataの相対存在量が1970年代付近を境に減少し、Ceatocerasの休眠胞子が増加している傾向にあった。このことから、1970年代以降の円石藻ブルームの発生と同期して優占種であった珪藻も群集組成を変化させていることが明らかとなってきた。
|