2007 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸同位体比質量分析を用いた過去30年にわたる食環境の変遷による生体影響評価
Project/Area Number |
19310025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊永 隆史 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授 (30124788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 公平 首都大学東京, 理工学研究科, 客員研究員 (70359173)
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Keywords | 食環境変動 / 安定同位体比 / 質量分析 / アミノ酸 / 生体試料 |
Research Abstract |
本年度は、本研究で最も重要となるアミノ酸の分子レベル安定同位体比分析法の確立を行った。分子レベル安定同位体比の測定には、ガスクロマトグラフ/同位体比質量分析計(GC/IRMS)を用いた。GC/IRMSによる安定同位体比測定において最適な抽出・精製・分離・キャピラリーカラム・ガスクロマトグラフ(GC)の条件・誘導体化法を検討した。まずGCの前処理については、試料に含まれるアミノ酸を酸加水分解により抽出し、N-ピバロイル/イソプロピルエステル化を行う方法が精度・確度の両面から最適であった。また、各分子の安定同位体比を正確に測定するためには、GCの分離条件が重要となることから、アミノ酸8種(グリシン・アラニン・バリン・ロイシン・アスパラギン酸・セリン・グルタミン酸・フェニルアラニン)を標準物質として用い、キャピラリーカラムの種類やGCの昇温条件およびキャリアガス流量を調整し、アミノ酸の分子レベル安定同位体比測定を可能とした。 アミノ酸の各分子の安定同位体比が食の影響をどのように反映するかを明確にするため、クマの生体試料を用いて基礎検討を行った。フェニルアラニンの窒素安定同位体比は食物と生体試料で一致する一方で、グルタミン酸の窒素安定同位体比は食物の種類(特に魚)によって大きく変化することが分かった。本結果より、食環境変動を検討するうえで、フェニルアラニンとグルタミン酸の窒素同位体比が重要なツールとなると考えられる。
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