2007 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ農村域における水供給と衛生に関わる環境汚染リスク軽減に関する研究
Project/Area Number |
19310032
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
酒井 彰 University of Marketing and Distribution Sciences, 情報学部, 教授 (20299126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 良巳 京都大学, 防災研究所, 教授 (00268567)
萩原 清子 仏教大学, 社会学部, 教授 (00198649)
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Keywords | 水供給 / ヒ素汚染 / 衛生 / バングラデシュ / 環境汚染リスク / 健康リスク / 中間技術 / 多基準評価 |
Research Abstract |
安全な飲料水供給と衛生は人の生命と健康に関わる要件であり、社会開発の基盤である。バングラデシュでは、1980から90年代に飲料水源として普及した1000万本にのぼる井戸の約30%が政府の水質基準を上回るヒ素に汚染している。また、現在この国で普及しているトイレはし尿の管理上多くの課題をかかえており、ヒ素に汚染された井戸水に代わる代替水源を表流本に求めることを難しくしている。 今年度は、研究対象地域として洪水常襲地域に存在する世帯数120世帯の農村を選び以下の研究内容を実施した。1.住民意識調査:住民の生活に対する満足度を構造化し、飲料水ならびに衛生設備に対する行動選択要因、改善意思形成にかかわる要因を抽出する目的で、55項目にわたるヒヤリング調査を実施した。サンプル世帯は118世帯である。2.既往施設の事例分析:バングラデシュにおいてはヒ素対策のために多くの施設が導入されてきたが、継続的に管理・供用されている例は少ない。失敗の原因について、社会環境特性、技術特陸の両面から分析した。技術オプションの適用性判断につながるとともに、外部者(施設等の供給を行う者)と地元のコミュニティの関係性において求められる要件を考察するうえでの基礎となる。3.水汲みストレスのモデル化:ヒ素汚染地域では、安全な水源が存在していたとしても、主に女性が担っている水汲み行動は、肉体的ストレスと、宗教上の理由からの精神的ストレスを伴う。ストレスを最小化するサイト選択に資するため、水汲みストレスをモデル化した。4.水供給と衛生に関わる環境汚染リスクの構造化:現地の研究協力者とのプレーンストーミング、住民参加型のワークショップの結果、研究協力者が実施する衛生的なトイレ普及プロジェクトの経験等を踏まえて、バングラデシュ農村域における飲料水供給と衛生に関連する環境汚染リスク要因の構造化を行った。
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