2008 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ農村域における水供給と衛生に関わる環境汚染リスク軽減に関する研究
Project/Area Number |
19310032
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
酒井 彰 University of Marketing and Distribution Sciences, 情報学部, 教授 (20299126)
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Keywords | 水供給 / ヒ素汚染 / 衛生 / バングラデシュ / 環境汚染リスク / 健康リスク / 生活環境 / 地域適正技術 |
Research Abstract |
安全な飲料水供給と衛生は人の生命と健康に関わる要件であり、社会開発の基盤である。バングラデシュでは、1980から90年代に飲料水源として普及した1000万本にのぼる井戸の約30%が政府の水質基準を上回るヒ素に汚染されている。また、現在この国で普及しているトイレはし尿の管理上多くの課題をかかえており、ヒ素に汚染された井戸水に代わる代替水源を表流水に求めることを難しくしている。 今年度は、研究対象地域として、安全な水供給施設が限られ、多くの住民が安全な飲料水へのアクセスが困難で、改善された衛生設備の普及も立ち遅れている地域を加え、住民ヒヤリング調査を行った。この調査では、昨年と同様の質問項目とし、サンプル数は124であった。また、この地区でヒ素汚染の実態調査ならびに代替技術の選択にかかわる調査として、ため池等表流水水質調査、住民のため池利用にかかわるヒヤリング調査を行った。 昨年度実施した調査結果と併せて、以下の研究内容を実施した。 1.ヒ素汚染に対する住民意識構造の相違の把握:住民の現在の生活に対する満足度、ヒ素汚染や非衛生に対する不安度などについて、昨年度と今年度を行った2つの調査地域間での比較分析を行った。 2.住民意識調査から計画代替案の比較において住民が重視している要因を抽出し、この要因と昨年度モデル化を行った水汲みストレスをもとに、ストレス軽減を指標とした飲料水供給施設の段階的適正配置について考察した。 3.昨年度考察した環境汚染リスクにかかわる要因の構造化を踏まえ、施設導入に伴うリスク軽減ならびに便益について、トイレの導入による衛生改善を対象に考察した。また、表流水を水源とする代替案を導入したときのインパクトについて考察した。
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