2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞系を用いた放射線DNA損傷の修復精度と突然変異誘発機構の解明
Project/Area Number |
19310035
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田内 広 Ibaraki University, 理学部, 教授 (70216597)
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Keywords | 放射線 / 突然変異 / DNA損傷修復 |
Research Abstract |
本研究では、遺伝子ノックアウトや遺伝子導入による、新たな高感度突然変異検出系を樹立し、放射線による遺伝子突然変異誘発における、DNA損傷修復機構やそこに関わるタンパク質の役割を解明することを目的としている。今年度は、これまで続けてきたニワトリDT40細胞を用いた新規突然変異検出系の樹立とは別に、既に開発しているヒトX染色体導入ハムスター細胞を用いた突然変異高感度検出系を利用し、これにドミナントネガティブ効果を持つ変異型のDNA損傷修復遺伝子を導入することでDNA切断修復をかく乱する実験系の樹立を進めた。変異型DNA損傷修復遺伝子の導入細胞はできたので、今後はその細胞系を用いて放射線による突然変異誘発を調べて行く予定である。また、DNA損傷修復と細胞周期との関連を調べるために新たに開発した、時間および部位特異的DNA切断による相同組換え修復効率アッセイ系を用いて、各細胞周期におけるDNA切断導入によって相同組換え効率がどのように変化するかを調べるための基本的実験条件の検討を行い、DNA切断導入が安定して行える処理時間を確定させた。この細胞系については細胞周期同調条件を現在検討中である。これと別に、その変異によって細胞が放射線高感受性となるNBS1タンパク質が、これまでとは全く新規の経路を通じて放射線によるアポトーシスを制御するということを見いだした。本年度の特筆すべき成果はNBS1タンパク質の新規機能の発見であるが、確立中の実験系等が具体的に実用可能にできれば、遺伝的な個人差のような放射線リスクの変化要因を解明するだけでなく、基礎科学一般にも応用可能な知見と実験技術を提供することができるはずである。
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Research Products
(7 results)