2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞系を用いた放射線DNA損傷の修復精度と突然変異誘発機構の解明
Project/Area Number |
19310035
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田内 広 Ibaraki University, 理学部, 教授 (70216597)
|
Keywords | 放射線 / 突然変異 / DNA損傷修復 |
Research Abstract |
本研究課題では、遺伝子ノックアウトや遺伝子導入といった手法を用いて新たな高感度突然変異検出系を樹立することと、放射線による遺伝子突然変異誘発におけるDNA損傷修復機構あるいは修復に関わるタンパク質の役割と相互作用を解明することを目的としている。本年度は、DNA損傷修復と細胞周期との関連を調べるために昨年度に樹立に成功した「時間および部位特異的DNA切断を可能にした相同組換え修復(精度の高い修復)効率の解析実験系」を用いて、細胞の分裂周期を同調させて相同組換え修復の細胞周期依存性を解析する実験データの取得を進めた。その結果、相同組換え修復がG1期では非常に起きにくく、S期によく起きる傾向を確認することができた。ただし、昨年樹立した細胞では、細胞周期の同調率が不十分であったため、より同調しやすい細胞系に変えた実験系を作製して解析を続けている。一方、突然変異誘発における放射線の線種依存性について、ハムスター細胞を用いた体細胞突然変異の高感度検出系を用いて解析し、粒子線による「逆線量率効果」が放射線の線エネルギー付与(LET)に依存して起きるということを証明し、国際学術誌に公表した。さらに、DNA損傷修復の主要な2つの経路である相同組換え修復と非相同末端結合との関係を解析するための新たなノックアウト細胞の樹立に成功し、細胞の増殖速度や放射線感受性、DNA修復効率などの表現型解析にとりかかっている。本課題で樹立した細胞系は先見的かつ独創的な実験系であり、今後の解析を進めることで大きな成果に展開できると考えている。
|
Research Products
(5 results)