2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発クロマチン損傷シグナル増幅におけるMDC1/53BP1の役割
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19310038
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 啓司 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00196809)
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Keywords | 放射線 / クロマチン / DNA損傷 / リン酸化 / MDC1 / 53BP1 |
Research Abstract |
平成19年度は、まずMDC1ノックアウトマウス由来線維芽細胞および野生型マウス由来線維芽細胞においてクロマチン損傷情報の増幅に有無を検討した。このため、セリン1981リン酸化ATMのフォーカスを特異的抗体を用いた免疫蛍光染色報により検出し、取得したデジタル画像を解析して、フォーカスサイズの変化を検討した。その結果、MDC1ノックアウト細胞において、リン酸化ATMフォーカスの誘導自体はあるものの、形成されたフォーカスのサイズは、野生型細胞で見られたものと比較すると小さいことが明らかになった。興味深いことに、MDC1のノックアウトは、53BP1のフォーカスを完全に消失させることが明らかになった。この結果は、53BP1がMDC1の下流で機能していることを意味し、DNA損傷チェックポイント因子にはクロマチン損傷情報の伝達においてある種の階層性が存在することが示唆された。 以上の研究に平行して、MDC1および53BP1の発現を欠く正常ヒト二倍体細胞を樹立するため、MDC1遺伝子および53BP1遺伝子に対するsiRNAの導入条件の検討を行なった。これらsiRNAの導入には電気穿孔法を用いた。価電圧用のキュベットに電極間0.4mmのものを用い、400Vの電圧のパルスを1msecの幅で印加した。その結果、5回以上の印加でも、大半の細胞が生存可能であることがわかった。また、電気穿孔後48時間の培養により、最低でも10%の細胞にsiRNAを導入できていることが、抗MDC1および抗53BP1抗体を用いた蛍光免疫染色法により確認された。しかしながら、siRNA導入によるMDC1および53BP1発現抑制の程度は、期待されたほどではなく、さらなる条件設定が必要であった。
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Research Products
(15 results)