Research Abstract |
細胞間相互作用を有する精巣細胞システムの開発を目指し,今年度は本システムに使用する不死化セルトリTTE3細胞の性質を詳細に解析した. TTE3細胞は,許容温度で増殖し,非許容温度では細胞が分化する.網羅的遺伝子発現解析と解析ソフトウエアーを用いて,この分化の過程に関与する遺伝子を詳細に調べた結果,約900遺伝子が発現変動し,これらは階層解析により6遺伝子グループに分けることができた.遺伝子発現が上昇する遺伝子クラスターIVから, CDKN1A, RB1, KIT, STAT1等を含む遺伝子ネットワークが明らかになった.また,遺伝子発現が減少する遺伝子クラスターIから,FOSL1,PLAUR, FN1等の遺伝子を含む遺伝子ネットワークも明らかになった.発現変動する遺伝子やこれらの遺伝子ネットワークがTTE3セルトリ細胞の細胞分化に関与している可能性が示された(Cell Biol. Int. 31,1231-1236,2007).現在,不死化ライデイヒTTE1細胞の遺伝子発現プロファイルと検討している.また,TTE1細胞を用いて,外因性エストロゲン様化学物質がLeydig細胞株TTE1のステロイドホルモン産生系遺伝子発現に与える影響とヒストンアセチル化解析を行なった(環境ホルモン学会第10回研究発表会).その他,バイオインフォマティクスの手法を用いて,化合物や細胞分化に関係する遺伝子ネットワークを明らかにした(Int. J. Hyperthemia 23,529-537,2007; J. Cell.Biochem. 102, 1472-1485, 2007).
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