Research Abstract |
細胞間相互作用を有する精巣細胞システムの開発を目指し,今年度は本システムに使用する不死化Sertoli TTE3細胞と不死化Leydig TTE1細胞の共培養系における細胞間の相互作用を検討した.膜フィルターを用いてTTE3細胞とTTE1細胞を共培養し,TTE3細胞の遺伝子発現変化を網羅的に調べた.その結果,数多くの遺伝子の発現が変動することが明らかとなった.発現が上昇する遺伝子には,VEGF, CAT, E2F1, TFが含まれた.TF (transferrin)は,Sertoli細胞の細胞分化の指標であり,Leydig細胞との共培養によりSertoli細胞が分化することが示された.発現が減少する遺伝子には,CCND1, CASP9, MET, TFRCが含まれた.CCND1 (cyclin D1)は,細胞増殖に関与する遺伝子で,この遺伝子の減少が,細胞増殖抑制に関与する可能性が考えられる.現在,発現変動する遺伝子の機能を解析している.その他,バイオインフォマティクスの手法を用いて,物理化学的なストレスに応答する遺伝子ネットワークを明らかにした(Int. J. Hyperthermia 24, 613-622, 2008; Cancer Lett. 270, 286-294, 2008).さらに,温度感受性SV40大型T抗原遺伝子導入トランスジェニックラットから新規に種々の機能を有した気道上皮細胞モデルの構築を行った(Cell Biol. Int. 32, 1344-1352, 2008).
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