2008 Fiscal Year Annual Research Report
低温稼働SOFC用ナノ構造化薄膜セリア系固体電解質の作成と評価
Project/Area Number |
19310062
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森 利之 National Institute for Materials Science, 燃料電池材料センター, 副センター長 (80343854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FEI Ye 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 研究員 (10450298)
MING Yan 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, NIMSポスドク研究員 (70465970)
|
Keywords | 薄膜 / 低温稼働 / 燃料電池 / 界面構造 / エコマテリアル |
Research Abstract |
300-500℃の温度範囲において、高い酸化物イオン伝導度を持つ薄膜セリア系固体電解質材料開発手法を確立することを目的とし、薄膜セリア系固体電解質中のナノヘテロ構造を精密に解析し、そのナノ構造の特徴を、バルク固体との比較のうえで考察し、伝導機構を理論的に解析することを通して、ナノ組織・構造制御を行い、高性能セリア系薄膜固体電解質の開発に取り組んだ。昨年度、薄膜固体電解内の組織・構造観察にTEM-EELSを用いたところ、従来の電気泳動法を用いて作製した、電極/固体電解質界面近傍に、アノードからのNiの拡散層が観察され、その領域内には、バルク固体中には認められなかったほどの、多量な酸素欠陥が秩序化した状態が観察され、あわせて多量のCe^<3+>の発生が確認されたと報告した。今年度は、薄膜固体電解質/電極界面の構造をより正確に把握し、高い導電率をうるための、ヘテロ界面を合成する目的で、イオンミリング法で、固体電解質表面から深さ方向に、厚みを薄くし、電解質/電極界面近傍までのバルク構造を精査することで、より正確な組成の深さ方向への変化の様子を、定量的にとらえることに成功した。また、シミュレーション結果とTEM観察結果との対応から、このヘテロ界面内に広がる秩序化した酸素欠陥構造の特徴も明らかにすることに成功した。以上のような2年間の固体電解質/電極ヘテロ界面近傍におけるナノレベルの不均一構造の観察結果と、薄膜デバイス特性評価の相関性の検討結果から、これまで、バルク固体よりも低い導電特性のみが報告されてきた薄膜固体電解質デバイスが抱える、本質的な問題が明らかになった。さらにミストCVD法を用いて作成したGdドープドセリア固体電解質薄膜内の固体電解質/電極ヘテロ界面では、ナノレベルの不均一性が極めて小さい結果であったことから、今後の高性能薄膜燃料電池開発手法を確立することに成功した。
|