2007 Fiscal Year Annual Research Report
表面弾性波により形成した動的制御量子ナノ構造における光学特性解明およびスピン操作
Project/Area Number |
19310067
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
眞田 治樹 NTT Basic Research Laboratories, 量子光物性研究部, 社員 (50417094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 秀樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 企画担当, 主任研究員 (10393795)
俵 毅彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究主任 (40393798)
山口 浩司 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究部長 (60374071)
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Keywords | 量子井戸 / 量子閉じ込め / 表面弾性波 / スピンエレクトロニクス / 光物性 |
Research Abstract |
本研究は、表面弾性波(SAW)を用いて空間的なバンド構造変調を電気的に精密制御することにより、周期的に配置された均一な量子ドットアレーなどの動的制御量子ナノ構造を形成し、従来の微細加工や結晶成長をベースとした作製法により形成される静的閉じ込め量子ドット・量子細線とは本質的に異なる光学的・電気的特性の創出に取り組んでいる。 H19年度は、(1)高周波領域(1GHz以上)で安定に動作する微小周期の動的制御量子ナノ構造の形成と、(2)量子閉じ込め効果の直談な検証に向け、高強度SAW印可時の光学特性の解明を進めた。 (1)周波数特性向上のためのトランスデューサーの電極構造(電極数、電極幅、形状)の最適化、および電極形成前の表面処理などのプロセス改善に取り組み、電極にAIを用いたダブルフィンガー型トランスデューサーが数GHz付近まで良好な電気特性および伝播特性を示すことが分かった。今後の課題として、インピーダンス整合等の構造最適化および熱特性の改善によるSAW出力の高出力が残されているが、極低温(4K)における数GHzでの動作に成功したことから量子閉じ込め効果の発現・直接観測に必要な条件をクリアしたことになる。 (2)動的制御量子ナノ構造の大きな特徴は、SAWがもたらすバンド構造変化が、場所および時間に依存することである。本研究では、1GHz付近で動作するSAWに同期したパルス励起光源を用い空間分解および時間分解した発光スペクトル測定を行い、SAWによるピエゾポテンシャル変化および歪み誘起バンドギャップ変化を詳細に調べた。その結果、ピエゾホテンシャル変化を追随する電子・正孔のダイナミックスおよびバンドギャップ変化に敏感な励起子のダイナミックスが発光強度の空間変化を決定していることが分かった。
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