2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体中の磁性不純物の価数制御による強磁性ナノクラスターの自己形成
Project/Area Number |
19310068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 眞司 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40221949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高増 正 物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (60212015)
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Keywords | スピントロニクス / 強磁性半導体 / 分子線エピタキシー / 不純物ドーピング / 強磁性クラスター / 磁気異方性 |
Research Abstract |
本研究課題は、磁性半導体において磁性元素が凝集した強磁性クラスターの自己形成を研究対象とし、クラスター形成のメカニズム解明しその物性をさまざまな側面から調べることにより、強磁性クラスター形成の制御という新しいナノ構造成長手法を確立することを目的としている。具体的にはII-VI族磁性半導体(Zn,Cr)Teを主たる対象として、そのクラスターの形成メカニズムの解明とその制御によるスピントロニクスへの応用を目指している。今年度は分子線エピタキシー(MBE)法を用いた成長において、種々の成長条件を系統的に変化させて結晶成長を行い、得られた試料の磁化特性および結晶中のCr組成分布を調べ、MBE成長条件がクラスター形成の有無、のサイズ、密度、形状および磁化特性にどのような影響を与えるかを明らかにした。これまでの研究ではCr組成が比較的低い(〜5%)場合にはドナー性不純物であるヨウ素のドーピングにより高Cr組成のクラスター形成が促進され、その結果強磁性転移温度が上昇することが見出されていたが、今回Cr組成が高い(〜20%)場合においても同じくヨウ素ドーピングによりクラスター形成は促進されるが、強磁性転移温度はあまり変化せずに超常磁性的振舞いが顕著になることがわかった。またクラスター形成の様子はドーピングのみならず、MBE成長時の基板温度によっても変化することがわかった。これは成長表面における原子のマイグレーションの影響であると考えられる。
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