2008 Fiscal Year Annual Research Report
半導体中の磁性不純物の価数制御による強磁性ナノクラスターの自己形成
Project/Area Number |
19310068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 眞司 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40221949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高増 正 物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (60212015)
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Keywords | スピントロニクス / 強磁性半導体 / 分子線エピタキシー / 不純物ドーピング / 強磁性クラスター / 磁気異方性 |
Research Abstract |
本研究課題は、半導体中で磁性元素が凝集するメカニズム解明し、凝集領域の形成を人為的に制御する手法を確立し、さらに凝集領域を有する半導体結晶の物性の解明によりデバイス応用の可能性を探索することを目的としている。具体的にはII-VI族磁性半導体(Zn,Cr)Teを対象として、ZnTe中でのCrの凝集領域の形成と磁化特性との関連を研究した。分子線エピタキシー(MBE)法を用いた成長において、種々の成長条件を系統的に変化させて結晶中のCr凝集領域の形成の様子がどのように変化するかを調べた。特に成長条件の中でMBE成長中の基板温度に着目し、基板温度によって結晶性およびCf分布がどのように変化するかを調べた。これまでの研究では、Crの平均組成が5%程度と小さい場合は、基板温度Ts=300℃の標準的な条件では、大きさ30〜50nm程度のクラスター状のCr凝集領域が形成されることが見出されている。Tsが上昇すると積層欠陥の密度が減少し結晶性に大幅な改善が見られる一方で、Cr分布の偏りにはそれほど大きな変化は見られず、強磁性転移温度はrsの上昇によりゆるやかに減少した。一方、Crの平均組成が20%の場合には、Tsの上昇によりCr凝集領域の形状が0次元のクラスター状から1次元の柱状に変化した。このCr凝集柱状領域は成長面方位が(001)面のときは成長面に対して斜め方向に形成され、Cr原子が結晶の{111}面に沿って凝集する傾向があることを示している。Cr凝集領域の形状が基板温度により変化する原因としては、基板温度が高い場合には成長表面の原子のマイグレーションが促進された結果、成長各層のCr凝集領域が連続的につながることで柱状領域が形成されたとものと考えられる。磁化測定においては、Cr凝集領域が柱状に形成された結晶では磁場の印加方向による磁化の異方性が観測された
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Research Products
(18 results)