2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19310069
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 順三 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (10343831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生駒 俊之 東京工業大学, 独立行政法人物質・材料研究機構, 主任研究員 (20370306)
坂根 正孝 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (30315684)
吉岡 朋彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50452016)
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Keywords | ナノDDS / 骨代謝・骨免疫制御 / ソフトナノテクノロジー / 破骨細胞 |
Research Abstract |
本研究は、転移性骨腫瘍の進行を防ぐ薬剤(ビスフォスフォネート:Bp)を長期間放出する薬物送達システム(DDS: Drug Delivery System)の開発を目的とする。DDS担体として、生体親和性に優れ、骨と直接結合するリン酸カルシウムに着目した。本DDS担体は、がん細胞によって破骨細胞が活性化されると担体自身が溶解して、Bpを放出して破骨細胞の働きを抑制する「細胞応答型DDS担体」である。以下の2つの合成方法を探索した。 (1)ナノ結晶の表面吸着による複合化:リン酸八カルシウム(OCP)とハイドロキシアパタイト(HAp)を湿式法で作製し、HEPES緩衝液に浸漬してBpを吸着させた。Bpの吸着等温線はLangmuir型であり、その飽和吸着量は緩衝液のpHが低いほど大きくなった。Bpは表面のカルシウムイオンに結合する。カルシウムイオンはOCPの(h00)面に多く存在するため、[001]方向に生長させたOCPの結晶の飽和吸着量が大きくなった。Bpの担体としてHApよりOCPが優れていることを示した。 (2)ナノ結晶中にBpを取り込む複合化:Bpを含む酢酸カルシウム水溶液をリン酸ナトリウム水溶液に滴下攪拌して、Bpをリン酸カルシウム結晶内部に複合化した。Bpの添加量が高くなると、OCP相は第二リン酸カルシウム(DCPD)に変化し、さらに高いBp濃度になるとアモルファスのリン酸カルシウムが析出した。アモルファスリン酸カルシウムは、高濃度(約22wt%)のBpを含有でき、その量は方法(1)の4倍に達した。本複合体が、リン酸カルシウム形の新型のアモルファス構造をもつこと、およびBpのDDS担体として有望であることを示した。 今後、Bpの薬効を長期間・有効に持続させるため、DDS担体の最適形態を制御する。
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