2008 Fiscal Year Annual Research Report
透過電子顕微鏡内近接場分光法による半導体ナノ構造体の光学特性の評価
Project/Area Number |
19310072
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 裕 Tohoku University, 金属材料研究所, 准教授 (80243129)
|
Keywords | 透過電子顕微鏡 / 局在近接場分光法 / ナノ構造体 / ラマン散乱 / フォトルミネセンス |
Research Abstract |
任意機能を持つナノ構造体を設計・形成するには、1)機能の起源、2)機能の発現機構、および3)ナノ構造体の形成機構、を解明する必要があります。その解明に必要な、個々のナノ構造体の形状・構造・組成と形成過程の評価およびそのナノ構造体の物理的特性などの直接的評価を目指して、透過電子顕微鏡内での局在近接場分光装置の開発を進めました。平成20年度の主な成果は、分光測定のS/N比を向上させるための透過電子顕微鏡内その場光照射・集光機構の改良です。回転放物面鏡および光学窓を顕微鏡内に設置し、試料の顕微鏡観察位置および近接場光形成用探針の存在する狭い領域(直径数μm以上)にレーザー光を集光できるようにしました。すなわち、光学窓より回転軸と平行にレーザー光を入射すると放物面鏡の焦点位置に集光し、放物面鏡の位置の調整により焦点位置を試料位置と合致できるようにしました。これにより、前年度(直径数100μm以上の領域にレーザー光を集光)に比べて4桁以上の近接場光強度(励起強度)の増加が期待できます。また、エネルギー可変レーザーを導入できるようにしたため、適切なエネルギー光の照射による共鳴励起法を利用した光学遷移確率の増幅が期待できます。測定条件を調整して高S/N比で近接場分光信号を検知できれば、これまでは不可能であった、透過電子顕微鏡で得られる結晶学的な情報と近接場分光測定より得られる電子論的な情報の相関を直接的に評価できるようになります。
|