2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19310074
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田村 厚夫 Kobe University, 理学研究科, 准教授 (90273797)
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Keywords | ナノチューブ / ナノファイバー / ペプチド / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
ペプチドが自己集合的に会合して形成される、内部に空孔を持つ繊維集合体をペプチドナノチューブと言うが特にL体、D体のアミノ酸が交互に並んだ偶数残基の環状ペプチドが構成するナノチューブを設計した。ペプチドナノチューブはその構造的、機械的な特徴を活かして、イオンやグルコースといった比較的小さな分子の輸送体および抗菌、抗ウイルス物質として研究されている。これらの機能は生体膜界面で起こる現象であり、このような膜と結含し、物質輸送を行うペプチドナノチューブの作成を目指した。そのために、生体膜と相互季作用の強し疎水性のアミノ酸や、金属イオンとの親和性の高いアミノ酸を用いた新規配列状ペプチドを合成し、金属イオンとの結合特異性および脂質単分子膜との結合を評価した。この結果、膜こ埋もれる能力を持つペプチドナノチューブの創製に成功した。一方、ペプチドを用いたシンプルな構成単位から複雑な規則構造体を作製することを考え、αヘリックスペプチドとC_3対称性のリンカーから構成される三叉状複合体をテンプレートペプチドとのコイルドコイル形成によって自已集合させ新規機能を備えたかご状の規則的集和体ペプチドナノケージを創製することとした。これは、テンプレートペプチドは三叉状複合体同士を橋渡しする役割を果たしており、テンプレートペプチドと三叉状複合体によるαヘリックスの会合体(コイルドコイル)が形成されることで自己集倉が進行し、かご状のクローズド構造体が形成されると考えたものである。このように設計し作製したペプチドナノケージについて、集合体構造の評価を行うとともにその構造を活かした機能、すなわち内部に物質を取り込む「キャリアー機能」の評価を行ったところ、ミオグロビンを取り込む能力を見出した。
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