2007 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレントX線回折顕微法による生物試料のナノ構造解析
Project/Area Number |
19310084
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西野 吉則 The Institute of Physical and Chemical Research, 石川X線干渉光学研究室, 先任研究員 (40392063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 一博 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (00392118)
高橋 幸生 大阪大学, 大学院・工学研究科付属フロンティア研究センター, 特任講師 (00415217)
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Keywords | コヒーレントX線回折顕微法 / ナノ構造解析 / 細胞内構造 / 低温生物試料 |
Research Abstract |
本研究は、可能な限り「生きた」状態に近い生物試料をコヒーレントX線回折顕微法で可視化する研究開発を行うことによって、生物現象の理解に貢献することを目的としている。本年度は、研究に適した試料の検討を進め、生物学・医学的意義が高く、かつ現在利用可能なX線光源でのコヒーレントX線回折顕微法測定に適しているという観点から、染色体を最優先ターゲットに選定した。また、染色体試料の各種調整法について、SPring-8のビームラインBL29XULにおいて実際にコヒーレントX線回折顕微法測定を行うことによって比較・検討を行った。四酸化オスミウム染色をした染色体や、無染色の染色体を比較した結果、無染色の染色体に対してノイズ散乱強度が最も小さなデータが得られ、コヒーレントX線回折顕微法測定に適していることが分かった。無染色の染色体はより「生きた」状態に近いため、これは好ましい結果である。さらに、無染色ヒト染色体の三次元可視化に向けたデータ解析をすすめた。これまで我々が行ったコヒーレントX線回折顕微法測定においては、試料は空気乾燥されていた。生物学・医学上は凍結水和生物試料の観察が極めて重要である。凍結水和生物試料の測定においては試料構造の破壊を防ぐため、調整段階から測定に至るまで試料を低温に保つ必要がある。これを実現するための、「冷却試料操作装置」の設計・製作を行い、また「クライオスタット装置」の選定を行った。また、データ解析法の改良を進め、再構成試料像の空間分解能を向上させることに成功し、その結果がPhysical ReviewA誌に掲載された。
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