2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質二重膜マイクロチャンバアレイを用いた生体膜輸送計測システム
Project/Area Number |
19310087
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 宏明 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (20372427)
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Keywords | 膜タンパク質 / マイクロチャンバー / 脂質二重膜 / アレイ技術 / 膜輸送 |
Research Abstract |
本課題の目的は,マイクロチャンバーアレイを利用して,生体の膜輸送タンパク質の輸送効率を,タンパク質一分子レベルで評価する実験系を構築することである.具体的には,薬剤排出ABCトランスポーターの基質輸送効率の計測を目標とした. 膜タンパク質を再構成するためには、そのプラットフォームとなる人工脂質二重膜を高効率でアレイ状に形成する必要があり、その基盤技術に関する研究を行った。高分子(ポリパラキシリレン)のシートフィルムに直径数十マイクロメートルの微細穴を加工し、そこに脂質二重膜を形成したところ、非常に効率が良く、96穴のアレイ状に形成可能であった。デバイスは、我々が開発したハイブリッド光造形法を用いた。また、膜タンパク質(イオンチャネル)モデルとしての抗菌性ペプチドを再構成し、機能を計測可能であることも確認した。本成果は、学術雑誌(Biomedical Microdevices)に掲載された。 最終的に、人工脂質二重膜にABC輸送膜タンパク質を再構成し,それらにより輸送された分子(基質分子,あらかじめ蛍光ラベルを付加しておく)を微小空間(マイクロチャンバー)中に蓄積させ,蛍光顕微鏡による検出を試みた.ABCトランスポータとして、ヒトの輸送タンパク質であるMRP2を用いた。チャンバー中の蛍光輝度が上昇し、微量の物質輸送を確認することができた。しかし、その再現性および定量性については課題が残るため、今後引き続き検討を続けていく。
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