2009 Fiscal Year Annual Research Report
蚊の穿刺行動の観察と医療用マイクロニードルへの応用
Project/Area Number |
19310091
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
青柳 誠司 Kansai University, システム理工学部, 教授 (30202493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 昌人 関西大学, システム理工学部, 助教 (70467786)
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Keywords | 蚊 / 穿刺行動観察 / 穿刺メカニズム / 医療用マイクロニードル / マイクロマシニング |
Research Abstract |
MEMS技術を援用し,蚊の針を模倣した低侵襲マイクロニードルの開発を行った.前年度,シリコンマイクロマシンニングにより蚊の口器構造や穿刺行動に基づいた複数の微細針を束ねた針を開発し,これらを協調動作させながら人工皮膚に穿刺させた.この結果,開発した複合微細針が穿刺力の低減に効果があることを明らかにした.本年度(平成21年度)は,非線形FEM解析により微細針の刺入による皮膚組織の変形・破壊の様子をシミュレーションした.また構造材をシリコンからポリマーへ変更し,マイクロモールディング法を用いてポリマーニードルの開発を実施した.以下に具体的な成果を示す。 1)蚊の針の屈曲動作の機構についてFEM解析とマクロモデルの実験の両面から検討し,3本の複合微細の根元を駆動することで,微細針を大きく屈曲動作させることが可能であることを確認した. 2)蚊の口器構造を模擬し,3本のマイクロニードルから構成される複合微細針をFEMによりモデル化し,針の穿刺による皮膚組織の変形・破壊現象の様子をシミュレーションすることに成功した.この結果,振動を与えることで穿刺力が小さくなることを確認した.また小顎を先導的に穿刺させ上唇を打ち込む刺入方法が穿刺力の低減に効果があることを確認した.これらは,穿刺実験の結果と矛盾せず,本シミュレーションにより前年度の実験結果の妥当性が確認できた. 3)電解エッチングしたシリコンニードルを原型金型として電鋳(電解ニッケルめっき)を行い,微細針の鋳型を作製した.この鋳型へ生分解性ポリマーであるポリ乳酸をマイクロ射出成型し,安全性が高くかつ鋭利な先端角度をもつポリマーニードルを開発した.この針を人工皮膚へ穿刺させ穿刺抵抗力を評価し,現行の金属針と比べて小さな力で穿刺が可能であることを実験的に確認した.
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Research Products
(6 results)