2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算手法を用いたナノグラフェン・デバイスの理論設計
Project/Area Number |
19310094
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
草部 浩一 Osaka University, 基礎工学研究科, 准教授 (10262164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 克法 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (50325156)
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Keywords | グラフェン / ナノグラファイト / 炭素材料 / FET / 電子デバイス / 量子伝導現象 / 物質設計 / 第一原理電子状態計算 |
Research Abstract |
グラフェンへの電極接合効果として発生する量子閉じ込め効果を、前年度に続いてSrOとの接合面形成を通して設計検証した。層状構造のもつ極性をコントロールして安定な接合構造を見いだした。短距離・長距離相関効果を評価する密度汎関数変分法が、このような磁性を持たせたグラフェン接合系に応用できることを論じた。電界効果トランジスタ構造を形成したナノグラフェンに対して、第一原理量子伝導計算プログラムによる伝導度評価を行うための物質構造決定を行った。 また、電子デバイス設計として、ナノグラフェン・デバイスの基本構成材料であるナノグラフェンにおける電子伝導機構の解明を、強結合模型を利用することで検証して、次の2つの知見を得た。 (1) 不純物散乱の強さや広がりが伝導機構に与える影響を、大規模数値解析により行った。アームチェア型のエッジを有するナノリボンにおいて、低エネルギ領域で、不純物散乱がほとんど電子輸送に影響を与えない特異な性質を有することを見いだした。これは、ディラック型分散関係に由来する線形バンドに関して、長距離型不純物による散乱では、Born近似の範囲で後方散乱の行列要素が消えることから理解できる。 (2) リボンの幅が異なる二つのナノリボンを接合する系について、そのコンダクタンスの振る舞いを調べた。ジグザグ端におきるエッジ状態にために、低エネルギー領域に、コンダクタンスがゼロになる反共鳴状態が現れる。この反共鳴状態の出現条件とジャンクション形状の関係を示した。エッジ形状を制御することによって、低エネルギーでの伝導特性が制御可能であることを示した。
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Research Products
(13 results)