| Research Abstract |
これまでの申請者の研究において,医療機関における質マネジメントシステム(QMS)のモデルを示すことができた.しかし,その導入推進において様々な困難が生じ,効率的に進めることはできなかった.本研究では,医療機関にQMSを導入・推進するための効果的,効率的な方法を確立することを目的とする.これによって,組織的に質を保証するためのシステムが効率的に医療機関に導入・推進されることが可能となり,安全で質の高い医療が提供されることになる.
平成20年度は,まず平成19年度に実施予定であった麻生飯塚病院でのOMS導入・推進上の問題点を把握し,問題点整理と実証計画を立案した.これに基づき,研究協力先の6病院での検証を開始した.最初に,開発した教育プログラムを用いてQMS教育を行った.主な内容は,QMSの基本概念,事故分析方法,標準化・文書化,内部監査である.これらの活動と平行して,阻害要因克服方法を3病院に適用した.一方,導入済みの2病院に対しては,QMSレベルアップのための方法論の適用を開始した,特に城東病院においては,方針・目標管理の導入,その成果を含む改善事例の発表会などを行った.
以上の活動を実施しながら,QMSの導入・推進が効果的,効率的に行われているかについて,種々の評価方法,評価指標を用いた評価を開始した.まず,QMSの理解度,生じている阻害要因を把握するためのアンケート項目を開発し,仙台医療センター,大久野病院で調査を行った.また,その他の評価指標として,インシデントレポートの量と質,内部監査結果,外部審査結果について調査を行った.これらの分析により,理解しがたいQMSの概念,方法論などが明確となった.
次年度では,平成20年度に明らかになった問題点を解決し,QMS導入・推進のための方法論を完成すること,各病院での導入・推進による効果をまとめることが主要な課題となる.
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