2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19310107
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足立 裕司 Kobe University, 工学研究科, 教授 (60116184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 治 工学院大学, 工学部, 教授 (50317343)
長谷見 雄二 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40298138)
藤田 香織 東京大学, 工学研究科, 准教授 (20322349)
稲垣 景子 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 特別研究教員 (20303076)
益田 兼房 立命館大学, 歴史都市防災センター, 教授 (50313317)
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Keywords | 文化遺産保存 / 防災 / 減災対策 / 木造密集市街地 / 対応マニュアル / 地震 / 火災 / 補強構造 |
Research Abstract |
本研究は日本建築学会災害対策小委員会のメンバーを中心に、緊急時に歴史的環境・建造物をいかに保全すべきかについて検討してきた。具体的な研究分野は大きく3つに分けられ、様々な災害の事前・直後・事後の対応を含め、A事例研究、B.制度・組織研究、C.技術・技法研究について行った。今年度は最終年にあたるために研究の集約と横断的な情報の交換にむけてシンポジウムや検討会を催し、個別の研究とともに報告書として纏めた。 研究計画に沿った成果としては、歴史的建造物のリスト化の方法とGPS・GISを利用した位置確認の方法について、特に防災を意識した応用について検討がなされ、構造補強については限界耐力設計法の文化遺産の耐震診断への応用や実践例の検討、町並みの群的な耐震補強の方策等について進捗をみた。伝統木構造の火災対策・技法研究、および広域の歴史地区の保全策の検討等については、消火・防火に関する開発と技術の評価研究が行行われ、一般在来住宅の延焼時の防火性能についての実験的な研究を基礎として検討を行った。文化遺産の消火設備を応用した周辺火災への対応等、これまでの文化財防災から一歩踏み出た検討が行われ、木造の文化遺産全般への応用について大きな進展があった。現況と施策の検討についてはアンケート結果について分析し、地方自治体の緊急時の防災体制の状況把握を行うことができ、併せて近年に起こった地震の追跡調査を行い、歴史的町並みの復興と施策の関係について追跡調査を行った。以上の研究は、まだ総合化し、一般の活動にまで敷衍していく必要があるが、同じメンバーにより、別途一般人にも理解できる文化遺産の災害対応マニュアルを作成しており、今回の成果は具体的な対策として活かしていくことができると考えている。
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