2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報と発現形質の矛盾に着目した新規代謝経路の探索と同定
Project/Area Number |
19310126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
跡見 晴幸 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (90243047)
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Keywords | ゲノム情報 / 機能未知遺伝子 / 代謝 / 超好熱菌 / 遺伝子破壊 / 補酵素A / pantoate kinase / GHMP kinase |
Research Abstract |
補酵素A (CoA)は全ての生物に存在する補酵素であり、様々な異化代謝経路・生合成経路で重要な役割を果たす。細菌や真核生物ではCoAの生合成はvalineを出発物質としてpantoate-->pantothenate-->4'-phosphopantothenateを含む9段階の反応を介して行われ、それぞれの反応を担う酵素の遺伝子が同定されている。始原菌のゲノム上にもCoA生合成に関与すると考えられる遺伝子が複数存在するが、始原菌ゲノムは共通してpantoate-->pantothenateを触媒するpantothenate synthetase (PS)およびpantothenate-->phosphopantothenateを触媒するpantothenate kinase (PanK)をコードする遺伝子のhomologを持たない。CoAを含まない合成培地で複数回の継代培養を繰り返しても良好な生育を示したので、T.kodakaraensisはCoA合成能を有することが示された。始原菌ゲノムに共通に存在するconserved kinase、conserved archaeal sugar kinase遺伝子に対応するTKO939、TK1473、TK2141、TK2242を発現し、翻訳産物のPanK活性を測定した。TK2141は弱いながらもpantothenate kinase活性を示すことが明らかとなったが、意外なことに高いpantoate kinase活性が観察された。さらにTK2141のCoA生合成への寄与をin vivoで検証するため、TK2141破壊株を作製し、CoA存在下・非存在下での増殖を検討した。TK2141破壊株はCoAが培地中に存在しない限り増殖できないことが判明し、本遺伝子がCoA生合成に必須であることが示された。TK2141と類似した分布を示す機能未知遺伝子を探索した結果、TK1686が同定された。本遺伝子産物はPS活性を示さず、pantothenate synthetase活性を示した。これらの結果から、T.kodakaraensisにおいては細菌・真核生物における従来のCoA合成系と異なり、pantoate-->phosphopantoate-->4'-phosphopantothenateを介してCoAが合成されることが強く示唆された。TK2141 homologはほぼ全ての始原菌ゲノムに存在することから本経路は始原菌に普遍的に存在する可能性も高いと考えられる。
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Research Products
(4 results)