2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本版「ノックアウトマウス・プロジェクト」の立ち上げに向けて
Project/Area Number |
19310130
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石田 靖雅 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 准教授 (10221756)
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Keywords | ノックアウトマウス・プロジェクト / ジーントラップ / マウス / ES細胞 / nonsense-mediated mRNA decay / コンディショナル・ノックアウト / UPA Trap / 国際的共同研究計画 |
Research Abstract |
ヒトやマウスのゲノム・シークエンスが決定された今、生物医学系研究の次なる目標は「高等動物ゲノムの機能解明」である。このゴールに早期に到達するため、マウスES細胞中で全ての遺伝子をノックアウトし、作製されたおびただしい数のES細胞クローンを世界中の研究者に無償・無条件で分配するという「ノックアウトマウス・プロジェクト」が推進され始めた。この大規模計画では欧米諸国が先行しているが、研究代表者のグループにより開発された遺伝子破壊法「UPATrap」の導入を、既にカナダの国家プロジェクトNorCOMMとヨーロッパの多国家間共同事業EUCOMMが完了している。 我が国では、独自のマウス・プロジェクトの立ち上げに関し真剣に議論が重ねられているが、そのような大規模計画に備え、早期に万全の態勢を整える必要がある。平成19年度、研究代表者は、人工的な翻訳誘発に依存しないNMD抑制法を考案し、それをUPATrap法に組み込むことにより、同法の最適化を実現した(未発表)。この開発により、UPATrap法で得られたES細胞クローンからノックアウトマウスを作製するまでのステップが大幅に簡略化された。また、UPATrap法でコンディショナルに遺伝子を破壊するための新技術開発が着手され、現在も進行中である。C57BL/6マウス由来のES細胞も、形質が高度に安定した株を見出すことができたため、早期に採用する予定である。これらの技術開発を統合することにより、我が国独自の大規模マウス計画の立ち上げが促進され、貴重な国家的バイオリソースの構築へと道が開かれる。
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Research Products
(3 results)