2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19310142
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 律夫 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (30135545)
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Keywords | 共進化 / 昆虫 / 植物二次代謝成分 / 化学感覚受容 / 寄主認識 / 寄主選択 / 送粉 / 種分化 |
Research Abstract |
<植物二次代謝物とチョウ類の寄主認識>アゲハチョウの場合,フラボノイド・アルカロイドなどミカン葉に含まれる複雑な二次代謝物質が産卵刺激因子ならびに幼虫の摂食刺激因子として関与している.食草を異にする近縁種間でも,寄主認識には相互に関連した化合物群が関与している.数種のアゲハチョウ類において産卵刺激受容・摂食刺激受容に関わる味覚感覚子から発生する特異的な神経興奮電位(インパルス)を計測し,種間の共通性,特異性に注目して解析した.その結果,複合物質系の認識を感覚子レベルで統合して神経的に処理している可能性が種を超えて認められた.一方,幼虫と雌成虫が受容する植物代謝成分の詳細な比較から,幼虫と成虫の産卵認識に関わる情報物質組成のプロフィールの相違が明らかとなった. <花香成分とミバエのフェロモン>ミカンコミバエBactrocera dorsalisをはじめとする近縁種群(B. dorsalis complex)は植物検疫上の重要害虫種を多く含む.これらの雄成虫は,花香成分methyl eugenol(ME)に誘引されこれを摂食し,性フェロモン分泌器官である直腸腺に蓄積する.アジア原産の近縁種であるB. correcta, B. invadensおよびB. zonata雄の直腸腺揮発性成分を分析し,その特有成分を明らかにした.これらの物質の雌に対するフェロモン活性を調べるための系統的有機化学合成を実施した.ME代謝酵素系は生殖隔離あるいは種分化のプロセスのなかで発達してきたと考えられることから,MEの供給源であるミバエランとの共進化過程との関係について考察した.一方,新たなミバエランBulbophyllum属数種数種の放出するミバエ誘引成分の化学分析により,同じ種のランでも地域によって産生する物質が異なることを見いだした.この現象は地域個体群との緊密な共生関係の中で発達してきたことを強く示唆しており,花香の生合成系の変異にっいて重点的に調査する必要性が最終年度の課題のひとつとして浮上した.
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[Journal Article] Fatty acid-amino acid conjugates diversification in lepidopteran caterpillars2010
Author(s)
Yoshinaga., N, Alborn, H.T., Nakanishi, T., Suckling, D.M., Nishida, R., Tumlinson, J.H., Mori, N.
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Journal Title
J.Chem.Ecol. 36
Pages: 319-325
Peer Reviewed
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