2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規自然免疫活性化物質の探索-細菌由来成分の構造解析、合成と機能
Project/Area Number |
19310144
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 ゆかり Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00362616)
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Keywords | 自然免疫 / 複合糖質 / 有機合成化学 / ペプチドグリカン / Nod1 |
Research Abstract |
本研究では、新規な自然免疫刺激活性を持つ化合物を探索するため、高等生物に存在しない微生物特有の表層構造成分を化学合成し、その生物活性の測定・解析を行うとともに、細菌培養液中成分の解析を行い、生体防御の第一線を担う自然免疫活性化機構の解明を目指している。 まず、免疫刺激活性という視点からはこれまであまり研究されてこなかった高度好熱菌Thermus thermophilus由来の特異なリン酸化糖脂質について、前年度に確立した新規脱離基を用いたα-選択的グリコシル化反応を用いる合成法を最適化し、全合成を行うと共に類縁体の合成を行った。得られた天然型化合物については、天然物とNMRが一致することを確認した。脂肪酸部位の構造の異なる類縁体については、免疫刺激活性を測定し、脂肪酸の構造による活性の違いを見出した。 細菌培養液中に存在する天然Nod1リガンド探索については、複数の活性画分を分離し解析を進めており、複数の画分から候補構造を得ることに成功した。現在、さらに精製と分析を進めている。また、Nod1リガンドとして、これまで数種の菌種に見出されているランチオニン型のペプチドグリカン部分構造についても合成を行い、種々の合成ルートと反応条件の検討の結果、初めてランチオニンのアンヒドロ糖を含むフラグメント合成に成功した。また受容体の認識構造の詳細とアンタゴニスト開発を目指したランチオニンの酸化類縁体合成にも成功した。得られた合成Nodlリガンドについては、Nod1刺激活性等の生物活性を測定することにより興味深い結果を得ており、今後さらに詳細な解析を行うと共に、現在検討中である活性を保持した蛍光標識体等を用いて、自然免疫活性化機構の解明を目指す予定である。
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Research Products
(37 results)