2007 Fiscal Year Annual Research Report
旧ソ連圏アジア諸国・地方における歴史的伝統の再定義と学術・教育動向に関する研究
Project/Area Number |
19310151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡 洋樹 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 教授 (00223991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 喜博 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (40250857)
黒田 卓 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (70195593)
北川 誠一 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (50001813)
高倉 浩樹 東北大学, 東北アシア研究センター, 准教授 (00305400)
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Keywords | モンゴル / ウズベキスタン / アゼルバイジャン / グルジア / サハ共和国 / 歴史認識 / 学術・教育動向 / ポスト社会主義 |
Research Abstract |
社会主義崩壊後のモンゴル・ウズベキスタン・アゼルバイジャン・コーカサス及びサハにおける民族・歴史認識の変化を、学術・文化・教育面から明らかにすることを目的として、本年度は基本となる文献資料の収集と現地研究者との連携・研究交流を通じたこの問題に関する現地の動向に関する情報収集を基本として研究を行った。現地での資料調査・収集を実施するとともに、関連の研究を進めている現地研究者との交流を行った。研究代表者岡は9月にモンゴルで調査を行い、同国における近年の歴史研究・教育動向について情報収集するとともに、近年の歴史研究文献収集を行った。また研究分担者黒田は、3月にアゼルバイジャンにおいて調査を行い、関連文献の収集を行っている。また北川はロシア及びグルジアに関する歴史研究文献の収集を進めるとともに、民族意識と密接に関わる言語状況に関する研究を行った。高倉はロシア連邦サハ共和国における伝統文化再興の状況について、関連文献の収集を行う一方、とくにその芸術表現に見える歴史認識の特徴に関する研究を行った。年度末にタシケント国立文化大学教授エルキン・アフンドジャノフ氏、モンゴル科学アカデミー歴史研究所学者書記ボルィン・プンサルドラム氏を招聘して研究会を開催し、両氏の講演と研究分担者による研究状況報告を行った。これらの活動から、社会主義崩壊以後のウズベキスタンとモンゴルの歴史認識における民族主義的な傾向の強まりが、体制崩壊により全く新たに生じたものではなく、旧体制下における歴史認識の方法を根強く引き継いでいることが明らかにされつつある。つまり近年の民族主義的傾向は、単純に社会主義期の歴史認識と対抗的に捉えるだけでは理解できないことが判明しつつある。同時に諸国の歴史認識の在り方は、ロシアという中心を失い諸国が歴史的に関わってきた文化・文明の歴史との繋がりを創出しつつあることも明らかになりつつある。
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Research Products
(19 results)