2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 正良 Kanazawa University, 文学部, 教授 (20201543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 隆司 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20276413)
月本 洋 東京電機大学, 工学部, 教授 (30339064)
長滝 祥司 中京大学, 教養部, 教授 (40288436)
三浦 俊彦 和洋女子大学, 人文学部, 教授 (10219587)
柏端 達也 千葉大学, 文学部, 准教授 (80263193)
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Keywords | 哲学 / クオリア / 意職 / 感情 / 認知ロボット / ニューラル・ネットワーク / 触覚 / 想像 |
Research Abstract |
1.本年度の実績は、一つには、平成19年11月の日本科学哲学において、本研究メンバーを中心とするワークショップ「感情の自然化はいかなる意味で可能か?」(司会・オーガナイザ:柴田正良)を開催し、感情の社会的認知の次元と神経学的基盤の関係に関する研究成果を機能の「自然化」という視点から討議したことである。また今一つは、本研究の先行科研費「意識と感情をもつ認知システムについての哲学的研究」(平成16〜18年度:代表者・柴田正良)の成果を踏まえた今年度の研究の到達点を『感情とクオリアの謎』(長滝・柴田・美濃共編著:昭和堂)として平成20年3月に出版したことである。 2.以上の研究においては、感情およびクオリアといった主観的現象の客観化・自然化の道筋には、なお説明ギャップのごとき概念的問題はあるものの、そうした認知機能に関する分析を徹底すれば、神秘的な意味での意識現象のく謎>は消失するというのが全体としての結果であり、これは、感情やクオリアに関する将来の科学的研究とその人工的実現への第一歩となるものである 3.以上の2つの研究成果は主に概念レベルのものであり、今年度予定していた残り2班の工学レベルの研究に関しては飛躍的な進展は見られなかった。しかし、感情機能のシミュレーションに関しては想像機能と関連させてニューラル・ネットワークにおいて実現するという方向性が明確になり(第2班)、また、感情反応を現実体としてのロボットにおいて生成する「機能ロボット作成」においては(第3班)、記憶および触覚との関連で感情反応を生成する実験が重ねられ、当面の処置として、それをヴァーチャルなロボットにおいて実現することが決定された。これは、この種の工学的実現の初発段階としてはやむをえないものであり、この経緯の明確化も、感情の自然化・工学的実現の研究一般において共有しうる重要な研究成果である。
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Research Products
(25 results)