2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 正良 Kanazawa University, 人間科学系, 教授 (20201543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 隆司 慶應義塾大学, システムデザインマネジメント研究科, 教授 (20276413)
月本 洋 東京電機大学, 工学部, 教授 (30339064)
長滝 祥司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40288436)
三浦 俊彦 和洋女子大学, 言語文学系, 教授 (10219587)
美濃 正 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70181964)
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Keywords | 哲学 / クオリア / 意識 / 感情 / 認知ロボット / ニューラル・ネットワーク / 意図的主体性 / 視線 |
Research Abstract |
1. 本年度の第1班の活動実績は、これまでの中間成果を論文にまとめ、柴田、長滝、美濃柏端、三浦が、それぞれ岩波講座「哲学」シリーズの02「形而上学の現在」および05「心/脳の哲学」に掲載したことである。このシリーズは従来からわが国の哲学思想に対して大きな社会的影響を有するものであり、第1班は、これらの論文を通して本研究の意義を社会に効果的にアピールするとともに、論文相互の批判的検討により、意識およびクオリアに対応する認知機能の存在論的な考察を進めることができた。 2. 第2班における研究実績としてまず第一にあげるべきは、月本洋『日本人の脳に主語はいらない』(講談社,2008)に結実した言語処理と脳科学研究とのコラボレーションであり、第2班は、月本のfMRIを用いた脳機能イメージから脳機能の局在化の仮説を経て、想像機能を実現するニューラル・ネットワークを構築するに至る理論的道筋を追求した。しかしながら、その具体的な実現は今後の課題として残された。 3. 第3班の実績は、まず、前野研究室において感情を単なる快・不快の瞬間的情動反応から発展させ、記憶と経験を介した通時的な状態として実現するニューラル・ネットワークをヴァーチャルなロボットとして実現することができたことである。完全ではないが、要素的感情を経験による重み付けにしたがって組み合わせ、複雑な情動状態の実現に近づけたことは、重要な成果である。また、もう一つの成果として、橋本研究室において手がけられた意図的主体性の形成があるが、これはまだ端緒であり、現実体としての「機能ロボット」における意図的主体の実現として、来年度以降にひき継がれるものである。
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Research Products
(41 results)