2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 正良 Kanazawa University, 人間科学系, 教授 (20201543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 隆司 慶應義塾大学, システムデザインマネジメント研究科, 教授 (20276413)
月本 洋 東京電機大学, 工学部, 教授 (30339064)
長滝 祥司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40288436)
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (90313709)
美濃 正 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (70181964)
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Keywords | 哲学 / 意識 / クオリア / 感情 / 認知ロボット / ニューラル・ネットワーク / 意図的主体性 / 意図理解の入れ子構造 |
Research Abstract |
1.本年度の第一の目標は、「意図的主体性intentional agency」の原初形態を機能ロボット上で作成することであった。これについては、第3班における橋本研究室が、幼児における「共同注視」の発生をモデル化し(S1段階~S5段階)、S3段階までの内部メカニズムを簡単な機能ロボットに実装する直前のステージにまでこぎ着けた。ただし、他者(母親)を追尾するロボット(幼児)の視線運動はやや安定性を欠き、またS4~S5段階の概念的な整理と内部メカニズムの詳細については着手したばかりである。しかし、この目標に関する来年度の研究の進展は確実なものであり、その成果は2010年9月13日からリスボン(ポルトガル)で開催される「European Conference on Complex Systems(http://eccs2010.eu/)において発表される予定である。 2.「脳機能分担の仮説と発話機能の関係」を脳神経科学的観点から分析する月本研究室ら第2班の作業は、残念ながら、想像機能を原初形態において示すニューラル・ネットワークの構築にまでは至らなかった。しかし、その過程で、論理的思考の具体的な脳回路における実現の議論は、月本による著作『日本語は論理的である』講談社(2009)において結実した。 3.第1班の「意識およびクオリアについての存在論的な問題」の研究は、自由意志とその実感(クオリア)における議論へと進展し、その研究成果は、「日本倫理学会第60回大会:主題別討議「自由意志の可能性」南山大学(2009)における柴田と美濃の提題発表となって公開された。ここにおいて、本研究課題が「認知ロボティクス」だけでなく、ロボット倫理や自由意志論の議論にも貢献しうるものであることが示された。これは、従来の倫理学への新たな視点の提供ばかりでなく、本研究の後継研究課題を占うものとして極めて重要な意義を持つものである。
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Research Products
(62 results)