アフガニスタン出土仏教写本の研究

2007 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19320012
• Research Institution: Bukkyo University
• Principal Investigator: 松田 和信 Bukkyo University, 文学部, 教授 (90268128)
• Keywords: 国際研究者交流 / アフガニスタン / 仏教学 / 写本

Research Abstract

本研究は、1990年代にアフガニスタンのバーミヤン渓谷から発見され、ノルウェーのスコイエン・コレクションを中心とする個人蒐集家あるいは研究機関に引き取られた大量の仏教写本類について、海外の研究協力者とともにその解読と内容の比定を行い、出版を目指すものである。平成19年度は、その目的のため、複数の海外研究協力者を研究代表者が所属する研究機関に一定期間招聰して、ブラーフミー文字によるサンスクリット語仏教写本を中心に解読作業と内容分析を行った。さらに、パキスタンのギルギットから発見されたと伝えられるサンスクリット語による説一切有部教団の長阿含経写本やカローシュティー文字写本断簡類を収蔵する平山郁夫コレクションの写本類に対しても、スコイエン・コレクションの写本類と平行して出版のための解読を行った。また研究代表者自身は、関連する資料を所蔵する海外のコレクシヨンと研究機関を現地調査して、アフガニスタン出土写本にかんする新たな情報収集に努め、さらにスコイエン・コレクションにおける現物を調査して写真等では判読できない箇所の確認作業を行った。これらの解読作業を通して、19年度は、説一切有部教団とは異なる、恐らくは大衆部系教団の三蔵の一部とみなされる律と阿含文献、あるいはアビダルマ文献写本の多数の断簡類が回収されて解読された。また海外研究協力者と研究代表者の間で将来の写本の出版に向けての詳細な計画が議論され承認された。