2009 Fiscal Year Annual Research Report
ひと概念の再構築をめざして -人文科学・アート・医療をつなぐ問いかけ
Project/Area Number |
19320018
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多賀 茂 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (70236371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西井 正弘 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60025161)
杉万 俊夫 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10135642)
岡田 温司 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (50177044)
大黒 弘慈 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (50262126)
立木 康介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70314250)
|
Keywords | ひと / 思想 / 現代社会 / 生命倫理 / 現代芸術 |
Research Abstract |
最終年度である21年度は、計画を発展させつつ、最終的なまとめを行った。まずアーティストとのコラボレーションに関しては、昨年度から懸案であった内藤礼氏の招聘が実現した。現代日本を代表する内藤氏の作品は、ひとの最奥にある「人間的空間と時間の始原」とでも言えるような希薄にして強烈、純粋にして茫漠たる世界を表現しており、ビデオ・映像を交えての彼女との意見交換は私たちの研究にとって実り豊かなものとなった。また私たちの研究のまとめとして、これも懸案だったフランス生命倫理法の専門家である法学者カトリーヌ・ラブリュス=リウ氏の招聘も実現し、その際日本側からは同様の専門家〓島次郎氏の参加を得て、シンポジウムを開催した。フランスにおける生命倫理法の整備作業が、常に「ひと」という概念の革新と共に行われていることが浮き彫りになり、我が国での同様の試みを行う際に留意すべき重要課題を明確にすることが出来た。このほか、昨年度招聘した勅使川原三郎氏のもとで頭角を現している若手ダンサー佐東利穂子氏との討論会、レヴィナスやアーレント研究を専門とするパリ第7大学教授マルティーヌ・レイボヴィッチ氏の講演会、研究会メンバーである大黒弘慈氏による講演会を催したほか、数度の研究会も行い、「ひと」という概念が関わる問題系を洗い直し、それを出発点としながら、メンバーそれぞれの専門領域で「ひと」という概念の構築を試みた。さらに内外の様々なアーティストや研究者を招聘したことは、私たちの研究の進展のみならず、基本的に一般公開として開催したシンポジウムや講演会などによって、一般への知的刺激・問題提起という面でも大いに成果があっただろう。
|