2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉 武夫 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40168274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 龍作 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70189108)
シュワルツ アレナレスロール お茶の水女子大学, 比較日本学研究センター, 准教授 (20377013)
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Keywords | 仏画 / 弥勒 / 浄土 / 兜率天 |
Research Abstract |
22年度は当研究テーマの調査対象として、海外は朝鮮半島南部の仏教遺跡、国内は重要遺品として岐阜市誓願寺の兜率天曼茶羅図、および兵庫個人蔵の弥勒浄土図扉絵を選んで調査を実施した。関連する資料収集を、東京国立博物館などの研究施設で行った。 海外の主な調査地は以下の通りで、現地調査には研究協力者も同行した。 〔慶州〕断石山、仏国寺、石窟庵、慶州国立博物館、〔金泉市〕弥勒磨崖仏、〔公州〕開泰寺、灌燭寺、〔扶余〕扶余国立博物館、定林寺、〔その他〕瑞山磨崖仏、白華山磨崖仏 朝鮮半島では、弥勒信仰が古代において盛んであったが、その多くは弥勒下生信仰で、この傾向は高麗時代に至るまであまり変化しない様相を観察することができた。ただ、高麗時代以降において下生の弥勒仏を表す際にも、兜率天からの降下を示唆する雲の表現があることは興味深い発見である。 また当該の研究対象である日本中世の兜率天曼茶羅について、岐阜・誓願寺本ならびに兵庫・個人像本を調査撮影したが、その図像についてはそれぞれ各別であり、この画題でのバリエーションの豊かさを認識した。個人像本では赤外線デジタル・カメラ撮影を併用することによって、はじめて図様が確認できたことも成果である。 以上、これまでの調査研究を踏まえて、総合的な分析を加えるとともに、研究分担者・研究協力者による論文集の作成にはいった。総論および、日本語による各論2編、欧文による各論1編が執筆されるとともに、日本中世の兜率天曼薬羅図を集成した資料図版編を組み立てるべく企画を進め、これを作成・刊行した。
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