2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平石 貴樹 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10133323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)
柴田 元幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90170901)
大橋 洋一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20126014)
阿部 公彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (30242077)
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Keywords | 文学 / 西洋史 / 英米交流 / 出版 / 比較文化 |
Research Abstract |
研究代表者の平石は、2009年はルイザ・メイ・オールコットに対するシャーロット・ブロンテの影響を中心に、19世紀前半のアメリカ女性のイギリス文学の受容について研究した。イギリスですでに近代小説=世俗小説が隆盛する中で、アメリカの女性作家たちは、みずからも読者層もかかえこんだ宗教と道徳の土壌の中で世俗性をどう確保するかに腐心している様子が見られた。 大橋は、2009年にはエドワード・サイード『故国喪失についての省察(2)』の翻訳を完成・刊行し、同書における研究課題に有益な知見を活用すべく研究を行った。また研究課題には、アダプテーションとアプロプリエイション理論とその具体例の研究が不可欠であることを確認し、理論と実践面での研究を開始した。研究成果は、最終年度に論文、学会発表というかたち公表する予定である。 柴田は、『いずれは死ぬ身』(短編小説アンソロジー)、『代表質問』(英米日作家に対するインタビュー集)、バーナード・マラマッド『喋る馬』などの翻訳を刊行しつつ、これらの翻訳で得られた知見を歴史的に再投射する形で、ディケンズをはじめとする19世紀イギリス小説と、トウィンをはじめとする19世紀アメリカ小説における、<現実>のありようの相違について考察を深めた。 高橋は引き続きスコットランド小説の研究をつづけ、阿部はアメリカとヨーロッパをまたにかけたエズラ・パウンドに焦点をあてることで、二〇世紀初頭のモダニズムを出発点にして19世紀、さらには18世紀の英米交流へと遡るような視点を探った。
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Research Products
(3 results)