2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平石 貴樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10133323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)
柴田 元幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90170901)
大橋 洋一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20126014)
阿部 公彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (30242077)
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Keywords | 文学 / 西洋史 / 英米交流 / 出版 / 比較文化 |
Research Abstract |
本研究の成果のひとつの集大成となったのは代表者の平石貴樹により出版された『アメリカ文学史』である。600頁近い分量を持つ本書には、本研究において共同研究者とともに進められた研究の成果がふんだんに盛り込まれており、たとえば18章の「大衆の時代としての1930年代」などでは、推理小説、ハードボイルド小説、ゴシック小説などが論じられるに際して、高橋和久による推理小説に関する調査の結果や、大橋洋一によるゴシック小説に関する知見が大いに反映されている。本研究は18~19世紀という時代に焦点をあてるものだが、当然ながらこの時代に関する調査研究は、20世紀という時代の考察の基礎ともなるものである。同じことは同書第15章の「モダニズムの詩人たち」についても言える。元々モダニズム研究から出発した阿部の18~19世紀についての研究は、モダニズムという時代を数百年にわたる歴史的な視点から考え直すという本書の考察にも生かされている。さらに加えて本書の大きな特色と言えるのは、18~19世紀の英米交流に関する研究という土台を生かした上で、ポストモダン小説などの一見過去との決別を宣言したかのような作品について、「はたしてほんとうにそれは決別なのか?」という考察が行われているということでもある。このあたりは、柴田がこのところ積極的に取り組んでいる英米の枠をこえた調査研究に追うところが多い。ポストモダン文学にも詳しい柴田は、他方でオスカー・ワイルド、ジョゼフ・コンラッド、ジェームズ・ジョイスといった作家に関する研究を進め、その成果は自身の編集する『モンキー・ビジネス』にも一連の翻訳として発表されているが、『アメリカ文学史』ではこうした柴田の研究を生かし、それと連動する形での考察を行っている。
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Research Products
(2 results)