2008 Fiscal Year Annual Research Report
文の語用的機能と統語論:日本語の主文現象からの提言
Project/Area Number |
19320063
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
長谷川 信子 Kanda University of International Studies, 言語科学研究科, 教授 (20208490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 喜雄 神田外語大学, 言語科学研究科, 教授 (50203675)
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Keywords | CPシステム / モダリティ / カートグラフィ / 極小主義 / 情報構造 / 文の語用機能 / 主文現象 / 文末表現 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでの統語理論では捉え切れなかった「語用機能と統語構造との関係」に関わる現象を、特に、そうした現象が豊富でかっ特徴的に現れる日本語を重点的に考察し、そうすることで、日本語の統語現象を統語理論の観点から再構築し、同時に、統語理論の発展に寄与することである。特に、統語構造が、談話・情報構造・語用的意味にどのような役割を果たすのかを、「話し手」「聞き手」の存在が不可欠である、主文現象に焦点をあてることにより明らかにし、これまで日本語学分野では、意味中心に留まって考察を統語構造との関係で捉え直すことで、日本語学の記述研究に一石を投じ、理論言語学的には、日本語から言語構造一般、特に、ヨーロッパで研究が進展してきているカートグラフィ研究の観点を取入れ、その専門家である遠藤喜雄氏を分担者に加え、進展させた。 上記目標に鑑み、平成20年度には、統語構造上最上部のCPの構造と機能が、語用・情報構造の基盤として機能するという想定の下に、19年度の「命令文、1人称の省略現象」などで得られた知見をさらに発展させ、その領域に関わるモダリティ現象、現象文の統語的性質などを考察した。そうした成果は、国内外の学会で発表すると同時に、7月に国内外の研究者を招聘し、ワークショップを開催し、日本語研究と理論研究(統語と意味、音韻現象)の融合を図った。それらの論文は論文集として、21年度中には発刊が可能となるよう、とりまとめており、本助成期間中に成果として刊行予定である。
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