2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19320071
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中島 信夫 Konan University, 文学部, 教授 (20155708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 兼彬 甲南大学, 文学部, 教授 (70068146)
福島 彰利 甲南大学, 文学部, 教授 (20199201)
中谷 健太郎 甲南大学, 文学部, 教授 (80388751)
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Keywords | 非制限関係節 / 話題化変形 / 推論行為 / エコー的働き / 疑似休止 / きしみ声 / リアルタイム処理 / 分断効果 |
Research Abstract |
研究者4人それぞれ以下のような成果が得られた。 1.[統語論の立場から](有村) 英語における非制限関係節においては平叙文でない形式(倒置を伴う疑問文または命令文)が生じることが可能である。つまり、制限関係節とは異なり、非制限関係節では発話内の力(illocutionary force)の選択に関して自由であると言うことができる。英語においてこの形式の文は一般的に主節で見られる現象であるという点に注目し、本研究では非制限関係節は話題化変形(topicalization)の一例とみなすべきであると提案した。 2.[意味論・語用論の立場から](中島) 認識条件文の発話は、条件節と主節の発話と、さらに、それらを取り込む上位の発話とからなる複合的発話であり、これら三つの発話が全体として推論行為を行うものであることを論じた。また、下位の発話は、エコー的な働きを同時にしており、このエコーが上位の発話の中に取り込まれると主張した。 3.[音声学・音韻論の立場から](福島) 5人の英語話者の発話をサンプルとして吟味した結果,挿入句が生じた場合,そのことを示す音響手段は圧倒的に無音休止であることが多かった。しかし,無音休止が生じない場合でも,節の末端部分にかけて発話速度が落ちる(疑似休止)という手段や,節の末端部分できしみ声が生じるという手段を用い,挿入句という固まりが主節には属さないことを音響的に示していることが判明した。 4.[文理解の立場から](中谷) 日本語の否定対極表現と否定辞の局所性・分断性のリアルタイム処理についての自己制御読み実験の結果データを分析したところ、理解課題の成績によって異なる読みパターンが見られることが分かった。さらに、疑問名詞句と疑問名詞句の局所性・分断性の処理についての自己制御読み実験では、距離の主効果が観察された。これにより、項と述語のθ関係に分断効果が観察されない日本語においても、他の文法依存関係には分断効果が見られることが確かめられた。
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Research Products
(9 results)