2009 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア人就労者による第二言語自然習得に影響する要因の多角的研究
Project/Area Number |
19320073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
助川 泰彦 Tohoku University, 国際交流センター, 教授 (70241560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吹原 豊 フェリス女学院大学, 留学生センター, 講師 (60434403)
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Keywords | 第二言語習得 / インドネシア人就労者 / バイリンガル / OPI / 母語継承 / 日本語 |
Research Abstract |
現在400名の成員がいると見込まれる茨城県大洗町のインドネシア人コミュニティへの訪問を繰り返し、ラポールの形成に努めた。その結果、過半数の成員との接触を行えた。メールや電話で連絡を取る相手も100人を越え、調査と並行してインドネシア人側から頻繁に日本語の翻訳の依頼や日本の行政制度についての質問を受けるようになるなど、一定の信頼関係の構築に成功した。こうしたラポールに基づいて、日本語習得に関係する心理的要因についてインタビューを重ね、言語習得との関係を明らかにすることができた。 言語能力の計測については、これまでに成人100名のOPIを実施した。平均8年程度の滞在期間であるにもかかわらず、日本語能力の平均は初級の中程度に留まっている事実が明らかになった。習得度の著しく高いものと著しく低いものにフォローアップインタビューを実施して、言語習得に関与する諸要因について質的な情報を得た。 また、一連の調査研究でラポールを形成した調査対象者の子女についても研究を広めた。インドネシア人児童生徒についても母語保持と日本語習得の実態について調査を進めた。子女の場合、母語を継承し加算的バイリンガルになっている事例と、母語を継承しない減算的バイリンガルになっている事例がはっきりと分かれていることが明らかになった。この問題は、成人の日本語習得よりも当事者の将来にとって深刻な問題であることから、本研究では児童生徒の日本語及びインドネシア語能力の調査にも着手している。 さらに、インドネシア人就労者たちの故郷であるインドネシア・マナド市および周辺地域でも調査を行い、帰国したあとの子女のインドネシア語習得および日本語保持について聞取り調査を計画し、これまでに3件の事例についてインタビュー調査を実施してきた。 また、韓国におけるインドネシア人就労者コミュニティーの調査にも着手し、情報収集を行った。
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