2007 Fiscal Year Annual Research Report
近世墓と人口史料による社会構造と人口変動に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19320123
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
関根 達人 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (00241505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 正朗 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70118371)
谷川 章雄 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40163620)
朽木 量 千葉商科大学, 政策情報学部, 准教授 (10383374)
荒木 志伸 東北芸術工科大学, 芸術学部, 講師 (10326754)
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Keywords | 墓標 / 石廟 / 松前 / 歴史人口学 / 近世考古学 / 埋葬施設 / 副葬品 / 過去帳 |
Research Abstract |
北海道松前町旧福山城下町において、寺町寺院街を中心に9ヶ寺4151基(8063人分)の近世墓標調査と、3ヶ寺13581人分の過去帳の調査を実施し、得られたデータをコンピュータに入力、集計と基礎的な分析作業を終えた。調査した墓標数は、旧福山城下町に現存する近世墓標のおよそ3分の2にあたり、残る3分の1については平成20年度に調査を行う。墓標に刻まれた被供養者数の変遷から、松前の人口の変遷は、津軽海峡を隔てた津軽地方のそれとは大きく異なることが明確となった。 また、松前藩主松前家関係者や有力家臣層の墓標型式として採用されている石廟の略測を行うとともに、石廟の全国的な展開を探るべく、大村藩主家墓所・石見銀山・月山富田城下・高野山奥の院・金沢野田山墓地など各地で関係する石廟の略測調査を行った。その結果、石廟が16世紀中頃、北陸地方で開山堂として発生し、17世紀初頭、北陸地方の国持大名クラスの墓標として確立、各地に伝播したとの見通しが得られた。19年度の調査において松前町光善寺で発見したカラフトアイヌ供養・顕彰碑は、嘉永6年のロシアによるクシュンコタン占拠事件に関わりをもち、北方史・外交史・アイヌ民族史上、極めて重要な記念物であることが判明した。 近世墓を編年資料として活用するため、発掘調査され報告書の刊行されている近世墓のなかから、被葬者名や没年が判明するものを抜き出し、埋葬施設や副葬品に関するデータベースを作成している。平成19年度は東北・江戸・九州・四国・近畿の各地域を終え、残る江戸を除く関東、中部・北陸・東海は平成20年度に行う。この作業に併行し、青森県八戸市内の寺院で八戸藩の中級武家の墓所の改葬工事に立ち会い、墓標と埋葬施設・副葬品との対応関係を検討可能な資料を得た。
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