2008 Fiscal Year Annual Research Report
スス・コゲからみた縄文・弥生土器、土師器による調理方法
Project/Area Number |
19320128
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Research Institution | Hokuriku Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 正史 Hokuriku Gakuin University, 人間総合学部・社会福祉学科, 教授 (50225538)
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Keywords | スス・コゲ / 縄文・弥生深鍋 / 調理方法 / 炊飯方法 / 米蒸し民族誌 / 薪と土鍋による伝統的調理 / 米蒸し調理 |
Research Abstract |
平成20年度は、(1)「スス・コゲからみた調理方法の復元」ワークショップの開催、(2)東北地方や中部地方の縄文・弥生深鍋の資料調査(約10回)、(3)東北タイ・ラオスの米蒸し民族誌の調査(2008年12月から2009年1月にかけての4週間)、(4)複製土鍋を用いた調理実験(山形で1回、金沢で2回)、などの事業を行った。本科研の柱となるワークショップは、福島県白河市まほろん(5月)、青森県三内丸山(6月)、兵庫県立考古博物館(7月と8月の2回)、大阪府八尾市埋蔵文化財センター(8月)、岩手県奥州市埋蔵文化財センター(9月)、新潟県十日町市博物館(9月)、韓国光州市湖南文化財研究院(9月)、福岡市埋蔵文化財センター(10月)、群馬県埋蔵文化財センター(11月)において計10回開催した。これらのワークショップの成果として後述するような調理方法の復元の進展に加えて、各地域で土器使用痕分析(スス・コゲからみた調理方法の復元)に関心をもつ研究者が増えつつあることがあげられる。調理方法の復元について以下の成果が得られた。第一に、東北タイ・ラオスでの米蒸し民族誌の調査において、(1)米蒸し調理とオカズ蒸し/茹で調理が組み合う可能性が高いこと、(2)日本古代の土製甑は米蒸し用と想定されるので、土製甑がない地域では米とオカズの両者を蒸せる有機物(籠製など)甑が使われたこと、などが示唆された。これらの観察視点に基づいて古代の鍋のスス・コゲを観察した結果、これまで不明だった古代のオカズ調理の復元がより具体的にできるようになった。第二に、弥生時代における炊飯専用鍋の確立程度から、核地域における米食程度が推定された。最後に、縄文深鍋の調理は「盛り付け終了まで鍋をイロリから動かさない鍋物調理」が主体であることが再確認された。さらに、縄文晩期の東日本に普及する小型有文精製小型鍋は、軽度の加熱とともに盛り付け機能ももっていたことが示された。
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Research Products
(11 results)