2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける高齢者のセイフティネットワーク構築に向けての社会人類学的研究
Project/Area Number |
19320139
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊藤 眞 Tokyo Metropolitan University, 大学院・人文科学研究科, 教授 (60183175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 欣雄 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90103209)
鄭 大均 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (20274996)
高桑 史子 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90289984)
何 彬 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (50305405)
綾部 真雄 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (40307111)
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Keywords | 国際情報交換 / 高齢化 / デイケアセンター / 高齢者と宗教 / 老人クラブ / 年金制度 / 介護労働者 / 多国籍 |
Research Abstract |
本年度は、(1)高齢者の組織化において先導的な役割をする諸団体の活動、(2)高齢者の介護者に対する考え方に焦点を当て調査を実施した。その結果、東アジアの国々における高齢者は、宗教団体、寺院、教会など宗教施設を基盤として組織化が進められていること、高齢者介護に関しては、家族主義的イデオロギーにより家族による介護が強調される反面、現実には外国人介護労働者に依存する割合が高いことが明らかになった。以上の指摘は、伊藤ほか連携研究者の調査に基づいている。伊藤は、シンガポールの高齢者支援団体の活動について観察・インタビューを通じて、キリスト教団体の役割を明らかにした。渡邊は台湾の台北市における日本人経営のデイケアセンターの設立と活動内容について聞き取り調査を行った。また、台湾人の老後生活に関する調査により、家族主義的道徳に基づく家庭内ケアーは近年減少し、政府の年金制度に依存する傾向が強くなっていることを指摘した。鄭は、毎週数千人規模の高齢者が参集するソウル市内の公園で観察と聞き取り調査を行い、大規模な参集が韓国の高齢者たちが経験しつつある文化・社会的な孤立や経済的困難を軽減する役割を担っている点を明らかにした。何は、北京市における新型の養老施設の登場に焦点を当て、市民の反応、入居者の意見などについて調査を実施した。綾部は、チェンマイ大学及び高齢者開発福祉財団の協力により、チェンマイ県などタイ北部県の高齢者にインタビューを実施した。 また、翌年度繰越金では、H20年度の国際人類学会中止で果たせなかった中国側研究者との意見交換のために、清華大学社会学部老齢学研究センターにおいて高齢者問題共同ワークショップを開催した。中国では高齢化の度合いは未だ低いがすでに取り組みが行われていることがわかった。
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Research Products
(16 results)