2007 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待の予防と対応-法的検討と医学的・心理学的・社会学的考察
Project/Area Number |
19330018
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
町野 朔 Sophia University, 法学研究科, 教授 (60053691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩 徹 上智大学, 法学研究科, 教授 (80384155)
小西 聖子 武蔵野大学, 人間関係学部, 教授 (30251557)
山本 輝之 明治学院大学, 法学部, 教授 (00182634)
奥山 眞紀子 国立成育医療センター, こころの診療部, 部長 (70177195)
野崎 薫子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (60376382)
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Keywords | 児童虐待 / 児童福祉法 / 親権 / 児童相談所 / 家庭裁判所 / 司法介入 / 国際研究者交流 / 台湾:韓国:米国(カリフォルニア) |
Research Abstract |
1(1)本研究は、児童虐待事案の法的背景と実際を考察し、児童虐待事案を効果的に予防するための社会システムを見出すことを目的とする。そのため、他領域にわたる研究者と共同での研究会を、本年度は2回開催した。問題の性質に即した研究の実施のためには、民刑事法学者、法律及び児童福祉の実務家、精神科医などが、一堂に会して研究を行い、各領域における問題意識を共有することが最重要である。(2)台湾の訪問調査を行った。また、上記研究会に台湾、韓国、カリフォルニアの研究者を招くなどして、比較研究を行った。 2以下、2007年度での主な知見を示す(1)3年計画の初年度であり、問題点の(再)把握が図られた。今回の研究で重要なことの一つとして、平成19年の関係法規の改正が現場に与える影響を検証し、3年後の見直しに向けた提言をすることがある。そこで、この改正の内容について情報を得た。(2)児童福祉行政による児童保護と親権の関係は大きな問題であるが、現在のところは児童福祉法28条で処理できており、親権喪失の申立までが格別に必要な事案はあまり生じていないようである。(3)もっとも、児福28条の趣旨は必ずしも明確でない。立法提案をも視野に入れた場合には、これと親権および監護権との関係を明確化する必要がある。また、刑事事件と児福法28条の手続きの関係についても、なお整理する必要があろう。(4)また、親権停止制度の未整備が、結果として、実務において行政限りで事案が処理される傾向を生み、それが児童相談所の過剰な負担につながっているかもしれない。さらに、理念的には、親子分離は行政でなく、司法が行うべき事柄かもしれない。ただし、両者の問題は、基本的には切り分けて考えるべきだろう。(3)例えば110番のような、全国共通の番号によるコールセンターの設置は、台湾及び韓国での実践であるが、被害把握のために有用であろうと考えられる。
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