2009 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待の予防と対応--法的検討と医学的・心理学的・社会学的考察
Project/Area Number |
19330018
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
町野 朔 Sophia University, 法学研究科, 教授 (60053691)
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Keywords | 児童虐待 / 親権 / 児童相談所 / 警察 / 検視 / 子ども裁判官 / 児童自立支援施設 / 保護者の回復支援プログラム |
Research Abstract |
1. (1) 児童虐待は法律や制度の改正が行われたにもかかわらず、深刻な事件が後を絶たない。本研究は法学、医学、心理学、社会学等異なる学術分野の研究者・実務家が協働し、児童虐待防止システムが健全に機能することを目指すものであった。 (2) 本研究について最も重要な点は、児童虐待という極めて見えづらい現場の最前線で児童保護にあたる人々に研究協力を依頼し、法学者、法律実務家、医療関係者、臨床家、行政担当者、民間団体の関係者という多職種の、多様な人々によって多角的に研究されたことにある。 2. 具体的な研究内容、研究成果は以下の通りである。 (1) 本年度4回開催された研究会では主に親権制度、検視制度、警察と児童相談所、立ち入り調査、家庭裁判所と児童相談所、家庭再統合、家庭裁判所の役割、児童虐待防止法の経済評価についての報告および議論を行った。 (2) フランスではjuge des enfants、ONED、Foyer d'Action Educative、derection de la protection judiciaire de la jeunesse等を訪問し、本国と児童保護についての思想、制度の相違を調査した。 (3) 国内では児童自立支援施設を訪問し、法律や制度の改正が現場にもたらす影響、施設内での問題点、現場の要望等を調査した。 (4) これらを踏まえ現在の児童虐待防止システムを検討し、虐待児童の早期発見、保護に重点がおかれた本システムの課題を明らかとした。児童虐待への対応は、発生予防から発見、保護、児童の自立支援・保護者の回復支援という総合的対策として行われなければならい。研究開始当初目的としていた立法提案を含む提言までには到達できなかったが、複雑な問題を抱える児童虐待への対応について問題の整理ができたことについては大きな意義がある。
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Research Products
(1 results)