2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弥永 真生 筑波大学, 大学院・ビジネス科学研究科, 教授 (60191144)
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Keywords | 会計基準 / 会社法 / 金融商品取引法 |
Research Abstract |
平成22年度は最終年度であるため、平成19年度から平成21年度において、十分に調査することができなかった国(アメリカ及び北欧諸国)、補充調査を行なうことを要すると考えられた国(イタリア、ベルギー)に重点を置いて、研究を遂行した。 第1に、アメリカについては、先行研究は存在するものの、判例や議会における議論については、法律学の観点からは必ずしも掘り下げられた検討が加えられていなかったのに対し、本年度の研究では、財務会計基準審議会への会計基準設定権限の委譲をめぐって、多くの議案が議会に提出されていたことを明らかにることがでた。 第2に、北欧諸国における企業会計をめぐる立法的対応については、会計学の研究者による先行研究は存在するものの、原語文献にあたったものはほとんどなく、立法資料等を調査対象としたものは皆無といってよかったと思われるが、本年度の調査では、ノルウェー及びスウェーデンについては原語文献及び立法資料を収集することができ、「よい会計実務」という概念との関連で、会計基準が位置づけられていることが判明した。 第3に、ベルギーにおいては、会計基準が慣習法あるいは商慣習として、法的効果を有するという考え方には定であるが、税法の解釈に係る国会における大臣の答弁などと同様の位置づけを与えることができるという見解が有力であることを発見した。 なお、イタリアについては、イタリア会計機構という比較的新しい私的会計基準設定主体の会計基準が法的にどのように位置づけられているのかについて、インタビューを行なうとともに、資料を収集したが、まだ、その分析は完了していない。暫定的結論としては、法的効果は明示的には与えられていないが、その財源が法的枠組みに基づき確保されており、また、広い代表によって正統性が認められていると評価することができる。
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Research Products
(8 results)