2008 Fiscal Year Annual Research Report
オークション制度設計の行動経済学からの新提案-市場と人間性の理論・実験分析
Project/Area Number |
19330041
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西村 直子 Shinshu University, 経済学部, 教授 (30218200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 辰義 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (20205628)
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Keywords | オークション / 実験経済学 / 経済理論 |
Research Abstract |
H20年の本研究においては,伝統的経済学が想定している自己利益のみを追求する利己的人間像を離れ,相手の利得の大小も重要な判断要因となる主体を分析対象とした。特に,相手の利得を下げてほくそえむ「スパイト」的主体と,相手の意図に反応して必要があれば報復する互恵的主体の2種類を考え,そのような主体が,「競り」方式と「第2価格入札」方式においてどのような入札行動をするかについて理論分析と実験分析を行った。H19年度までに実施した,買い手が2人の場合の理論分析では,利己的主体を想定した場合に比べて,不効率な結果を全て排除した,より小さい均衡集合が出現することを見たが,本年度に行ったn人の場合への拡張においても,2人のときの分析結果が大きく異なることはなかった。また買い手が6人の場合の実験も行い,買い手が2人の場合の実験結果と同様に,理論分析の結果をデータが支持することを確認した。 また,利己的主体を想定した場合には,同じ均衡入札戦略を持つことが知られている,「第1価格入札」と「ダッチオークション」における相互スパイト的な主体の入札行動について分析を開始した。実験では従来より,ダッチオークションで決定される価格は第1価格入札における価格を平均で下回ることが観察されてきたが,この結果と整合的な理論仮説はこれまで提案されてこなかった。しかし,相互スパイト的な主体の存在を導入することにより,この2つの方式間における同値性が崩壊し,主体間における心理的相互作用によって,ダッチオークションで生じる価格が第1価格入札で生じる価格よりも低くなることを示した。買い手が2人の場合の検証実験も実施を開始した。H21年度以降では,理論分析の進展をはかり,実験を重ねて十分なデータを蓄積することを予定している。
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