2009 Fiscal Year Annual Research Report
ITイノベーションの国際比較と日本企業の戦略に関する定量分析
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19330047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
元橋 一之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (30345441)
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Keywords | エレクトロニクス / 国際比較 / データベース / 総合電機 / 特許分析 / 国際競争力 |
Research Abstract |
1980年代から1990年にかけて高い利益率を示し、自動車産業と並んで日本経済を牽引してきた日本の電機産業の国際競争力が落ちている。1980年代前半に誇った高い利益率は1985年のプラザ合意に端を発する円高により急激な下落を示したが、1986年頃から始まったバブル景気により再び急回復を示した。しかしバブル景気崩壊に伴い再び業績は悪化し、ここ十数年の間は営業利益率で5%以下に低迷している。ここでは、このようは転換期にある日本のエレクトロニクス産業の今後の在り方や大手電機メーカーの戦略について検討するために産業レベルと企業レベルの両面から分析を行った。 まず、産業レベルの分析においては、工業統計や貿易統計などの各種統計データを用いて、国際的に日本のエレクトロニクス産業がおかれている状況が1990年後半以降どのように変化していきているか明らかにした。ここでは日本、米国、韓国、台湾及び中国におけるエレクトロニクス産業に関する工業統計と貿易統計の接続データを作成し、更に日本企業においては海外事業活動調査データを組み合わせることによって、企業活動もグローバル化を勘案した日本企業の国際競争力の推移について定量的な分析を行った。 次に、企業レベルのデータを用いた分析としては、エレクトロニクス企業の製品多角化とパフォーマンスに関する国際比較を行った。日本のエレクトロニクス企業は「総合電機」といわれるように多様な製品を生産していることが特徴であるが、米国、韓国、中国のように特定の分野に特化した企業はより高いパフォーマンスを上げているとの見解がある。この事実関係について定量的に評価した。また、日本企業が多角的な製品戦略をとっているのは幅広い技術力を持ち、そのような技術基盤をベースに複合的・統合的な製品を供給していることによるという見解がある。ここでは特許データを用いて日本企業の技術基盤の広がりについて、米国や韓国企業と比較して、製品戦略との関係について検証した。技術戦略と製品戦略の関係については、特許利用に関するコンコーダンステーブル(OECD)を活用し、日本企業の幅広い技術基盤が製品戦略においてシナジー効果をもつものかどうかについて分析を行った。
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Research Products
(6 results)