2008 Fiscal Year Annual Research Report
経済集積の検出およびその空間パターン認識に関する実証分析枠組の構築
Project/Area Number |
19330049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 知也 Kyoto University, 経済研究所, 准教授 (70283679)
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Keywords | 集積検出 / NAS法則 / 階層原理 / 集積の経済学 / 空間経済学 |
Research Abstract |
本年度の主たる研究目標であった産業集積検出手法の開発及びそれを日本の製造業小分類の集積パターンへ適用した。当手法に関する研究成果の論文化は来年度に見送ることとなったが、その応用である以下2テーマを先取りして研究し、成果はBrookings-Wharton Papers on Urban Affairsにて2009年4月以降に出版予定である。 1集積の空間的同期及び階層原理の検定:上記の集積検出手法により検出された各産業の集積と、主に通勤パターンを用いて定義された都市雇用圏との空間的重複に基き各都市圏の立地産業を定義し、都市の産業構造に関する法則性として最もよく知られた「階層原理」の検定を開発した。この検定を1980年と2000年の日本の製造業小分類および都市システムに適用し、非常に強い階層性を検出した。また、産業横断的な集積傾向の有無についても検定を行い、異なる産業間で非常に強い集積の空間同期が起こっていることを示した。 2 Number-Average Size法則の再検証:2003年に私がT.E.Smith(ペンシルバニア大学)・錦見浩司(アジア経済研究所)らとともに発見したNumber-Average Size(NAS)法則を、産業集積の観点から再検証した。NAS法則は、各産業の立地都市数と立地都市の平均人口規模の間に成立する対数線形関係が成立するとするものであるが、当初、都市の立地産業の特定は、産業の雇用者数が各都市の総雇用の所与の割合以上であることを基とするインフォーマルなものであった。本研究では上記の階層原理の検定の場合と同様に、検出された集積と都市圏の空間的な重なりに基づいて都市の立地産業の特定を行った。1980年および2000年において、非常に強いNAS法則が検出された上、対象とした製造業小分類147産業のうちNAS法則から逸脱する8産業が、いずれも統計的に有意な集積傾向を示さない産業であることが分かった。つまり、集積傾向を有意に示す全ての製造産業(147産業中139産業)の立地パターンは非常に強くNAS法則に従うことが示された。
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